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目の前に座る宇髄Aは、音柱宇髄天元の娘だ。
俺はこの子が、鬼殺隊に入るよりももっと前。
宇髄の家に来て間もないころからよく会っていた。
俺にとって妹のような子だ。
昔から笑顔を絶やさず、優しくおっとりしていた子で、12歳になった今も変わらない。
いや、ひとつ変わったとするならば…。
「なぁに?」
「いや!なんでもない!美味いか?」
「んふっ、美味しいよ。杏くんは美味しいお店知ってるねぇ。
今度パパ達も連れてきてあげよーっと。」
少し間延びした話し方をするようになった。
幼い頃の方がしっかりハキハキ話していたような気がするが、別に変じゃない。
宇髄家はそんなAを、可愛い可愛いと、どちらかと言えば蝶よ花よと育てたかった。
それは本人の強い意志によって変わったが。
「ねぇ、杏くん。」
「なんだ!おかわりか!」
「ううん、お腹いっぱぁい。
そうじゃなくて、柱って忙しい?」
「暇では無いな!夜の巡回など仔細報告、下の者たちの様子を見て、お館様に報告したり。柱は担当することが多いからな!」
「そっかぁ。」
伏し目がちにそう言って、串に残っていた最後の団子を頬張った。
両親たちと容姿で似ている点は少ないが、その心はよく似ていると思う。
「どうした!何かあったか!」
「んーん…ただねぇ、パパ忙しいから私なにかしてあげられないかなぁって思ってたんだぁ。」
家族を思う気持ちは、彼ら譲りといえよう。
この子はどこからどう見ても君たちの娘だぞ、宇髄。
「なにかする必要は無い。」
「どうして?」
「Aはいつも通り笑顔で、宇髄たちと話をすればいい。
今ある当たり前は当たり前じゃなく、いつ無くなってしまうか分からない、尊ぶべき時間だからだ。
特に俺たちの様な仕事はな。
それでも何かしたいなら、料理はどうだろうか。」
「料理?」
「君の作るご飯は美味しいと前に自慢していた!」
「…んふふっ、そっかぁ。じゃあ明日のお昼ご飯は私が作ろーっと。」
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年相応に笑う姿は刀を握る姿を思わせない。
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廣岡唯 - ウホウホうおぉ好きぁ (4月16日 11時) (レス) @page1 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
めめ - 親の制限でなかなか来れないですが開くたび楽しみにしてます!!このお話めっちゃ好きなので頑張って下さい!! (12月26日 8時) (レス) @page16 id: 5fbc771ab4 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - うわすきなにこれ好き(語彙力どこぞへ) (12月22日 17時) (レス) @page14 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
kakarika(プロフ) - うおぉ・・・凄い楽しみです!! (12月5日 19時) (レス) @page5 id: 833a0352da (このIDを非表示/違反報告)
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