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ふと。あれが鬼の始祖である鬼舞辻無惨で、あれが私たちの悲願の元なんだと思うと、なんだか不思議な気持ちになった。
父と母は、私に笑いかけたことはなかった。
産んだらお金が必要になるから、邪魔になったのかもしれない。
そんな私に初めて笑ってくれたのは、
鬼殺隊の隊士である私が、こんな風に思うのはおかしい事で、ダメなことなんだろうと分かってはいるけれど。
鬼狩りと鬼ということを忘れて、1度だけでいいから、対等に話してみたいと思った。
まぁ、無理だろうけど。
家に挨拶をしたあと。渡辺さんがどれ位で戻るか分からなかったので、足早にその場を離れて、藤の花の屋敷に行った。
僅差で私の方が先に着いて、ほっと一息ついた。
「本日は、他の鬼狩り様もいらっしゃいますよ。」
「ほかの…お名前わかりますか?」
「いえ…あっ、でも。お連れになっている鎹鴉が、鬼狩り様のことを“ぎゆう”と呼んでらっしゃいました。」
「ありがとうございます。挨拶してきます。」
屋敷の方に彼の居る部屋を教えてもらって、伺った。
「ご挨拶に伺いました。お時間少々よろしいでしょうか。」
「あぁ。」
「失礼します。」
彼を見た第一印象は、たしかに、水の呼吸の使い手にピッタリの人だな、と思った。
そして同時にパパの言葉を思い出した。
『冨岡は派手に地味だ!』
正直なにを言われてるのか分からなかった。
派手に地味って矛盾してる。
でも…なんとなく、こう…派手に地味だ。
向かい側に座っても何を言うわけでもなく、ただじっと見つめてくる。
全然喋らないって言ってたなぁ。
「宇髄天元の娘の宇髄Aと申します。
父から冨岡さんのことは聞いてます。よろしくお願いします。」
にこりと笑って頭を下げた。
彼が笑いかけることはなく、ただ一言。この部屋に入ってくる時と同じように「あぁ。」と言った。
パパ。そして杏くん。人と仲良くなるにはどうすればいいのでしょうか。
「あの…。」
「なんだ。」
「差し支えなければ、お夕食を一緒にどうでしょうか。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
1人で食べるより美味しくて、話すきっかけになるかもしれない。
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廣岡唯 - ウホウホうおぉ好きぁ (4月16日 11時) (レス) @page1 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
めめ - 親の制限でなかなか来れないですが開くたび楽しみにしてます!!このお話めっちゃ好きなので頑張って下さい!! (12月26日 8時) (レス) @page16 id: 5fbc771ab4 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - うわすきなにこれ好き(語彙力どこぞへ) (12月22日 17時) (レス) @page14 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
kakarika(プロフ) - うおぉ・・・凄い楽しみです!! (12月5日 19時) (レス) @page5 id: 833a0352da (このIDを非表示/違反報告)
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