令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね

弐拾参　本当にお世話になりました ページ26

「あら、その荷物…」


「あぁ、私、今からここを出るの。」


「あら、そうなの？」




舞さんの「あら」って口癖だよね。移りそう。怖いやだ。

じゃなくて、明日出ていくはずだったのが、なんで今日になったかと言うと、まぁ遡ること数時間前。




とりあえず舞さんにお萩作ろってなって2人で作ってたの。

そんな時に気づいたわけですよ、私は。




「ねえ師匠、藤襲山までどれくらいでつくの？」


「走って1日。」


「歩いて。」


「2日だな。」


「いつ藤襲山に到着すればいいの？」


「3日後だな。」




ん？3日後、明後日に到着？あれ？




「じゃあもうここ出なきゃじゃん。」


「は？なんでだよ。」


「え？だって2日かかるんでしょ？」


「走っていけよ、そしたら1日でつく。」


「は？何言ってんの？
なんで歩けば2日でつくものを1日走って行かなきゃなんないの？
試験前に疲れさせる気ですか？え？」


「…………いーだろ、明日にしろよ。」


「なんだよ今の間。
ってかやだよ！歩いていく！走んない！いやだ！」


「なんだその駄々のコネ方！子供か！」


「子供だ！！」




とまぁこんな感じで私は今日ここを出ることになった。

なんで走らせんだよ、ばかやろう。




「そう、寂しいわね…。」


「師匠がいるからむしろ散々うるさくされて、お詫びの品が貰えなくなるだけだよ！」


「あらほんとね。 どうしましょ。」


「お前らなんの心配してんだ！！」



このくだらない会話がしばらく出来なくなる、なんて思うと、ちょっとだけ寂しくなった。




「ほらよ！」




師匠はそう言いながら私の顔めがけて何かを投げてきた。




「何すんだよ！！顔に当るべや！！」


「当たってねえんだからいいだろ。」


「いいわけあるか、このクソジジイ。」


「誰がクソジジイだ！！！」


「うるせえ！！お前しかいねえだろ！！」




今度、師匠のご飯にブート・ジョロキア入れてやる…どうやって手に入れんだよくそ。

そんなくだらないことを考えながら、貰った袋を開け中身を見る。




「舞さんに売った物を買い戻すの大変なんだぞ。」


「どうして……。」




袋の中には私が売った衣類や財布、iPhoneちゃんが入っていた。




「んじゃ、これとこれ師匠に預ける！帰ってきたら返して。」


「…わかった。」


「師匠、舞さん、行ってきます！」




私は満面の笑みを見せ、2人の声を聞いて店を出た。

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