令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね

拾　1週間ぶりの市 ページ13

文月side


天候、快晴。

そんな今日、俺は一週間ぶりに市へ行くことにした。

そろそろ新しい着物を買おうか、食材も少し買って行こう。また一週間分買い貯めだ。

久しぶりの市は、相も変わらず賑やかだった。

よし、いつもの呉服屋に行くか。




「邪魔するぞ」


「あらあら、匠さんじゃないの。 いらっしゃい。 なぁに？ やっと新しい着物買う気になったの？」


「まぁな、良い奴あるか？」


「ちょっと待ってなさいな」




ここの女将とはかれこれ20年以上の付き合いになる。

俺はここ数年、新しい着物を買っていない。

女将である舞さんは俺が市に出てくるのを見かけては、そろそろ新しいのを買ったらどうだと言ってくる。

あまりに押しが強いのでとうとう俺が折れてしまったのはもう一週間前だ。




ふと俺は店の隅に置いてある物が気になり近づいてみた。




「なぁ、舞さん！これなんだ？」




店の奥にいなくなった舞さんにしっかり聞こえるような大きめの声を出す。

すると舞さんは紺色の着物を手に不思議そうな顔をして戻ってきた。




「あぁそれ、さっき来た女の子が要らないからって売って行ったのよ」


「……ここ、呉服屋だよな」


「私が頼んだのよ、なんだか珍しいモンだからね。 つい欲しくなっちゃって。 あぁはいこれ。 この色でよかった？」


「あぁ、助かる。 ありがとな」

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