平成精神病院 . 地下閉鎖病棟 第２棟

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(八乙女side)






交流ルームで、涼介君と侑李君が遊んでるのを見ているうち、
俺はあることを思い出した。

ナースステーションの鍵、閉めてない。

あの鍵開けておいたら大貴君が入っちゃうんだよね。
急いで閉めに行かなきゃ。


なんて思いながら戻ると、ナースステーションの中でうずくまっている１人の少年。




　「大貴君、前から言ってるけど、ここ入らないでねー？今回は開けておいた俺が悪いんだけどさぁ、笑」




なんて呑気に話しかけたけど、返事は一切無し。

様子が変。そんなこと俺でもわかった。




　「大貴君？」


　『まだ、まだ…』


　「大貴君、」




「まだ」、そう呟く大貴君に近寄って手元を見ると、俺がさっき捨てたはずの
あの写真。そして、その写真は間違いなく、大貴君の父親。




　「っ……」


　『まだ、おわらない。たすけて、やだ、たすけて…』


　「大貴君、落ち着いて。大丈夫だから…」




頭を抱えて体を震わす大貴君。
ああ、また思い出させてしまった。俺のせいだ。




　『もうやめて、くださ…なんでもします、から…』


　「大貴君、深呼吸できる？」


　『ふぅ、はぁ…もうやだ、ふぅ…離してください…っはぁ、』




俺は浅く息をする大貴君を持ち上げ、部屋まで運んだ。

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