平成精神病院 . 地下閉鎖病棟

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(中島side)




ナースステーションで、パソコンをいじっていると大貴くんが走ってきた。





　「ん？どうしたの？」


　『暇だから、お話しに来た！』


　「あー、ここって遊び場無いのかなぁ？」


　『あるよ！……みんな使ってないだけ〜』





病室が並んでいる廊下の一番奥を指差して、悲しそうに微笑んだ。

あ、そういえば。





　「涼介くんと侑李くんは、なんでここに来たのかわかる？」


　『詳しくはわかんないけど…、涼介は虐待?…で、侑李は育児放棄』





ソファーに座って、拳を握る大貴くん。

皆の過去を話すときって、大体怖い目してるかも。
…一応、メモしておこうか。





　『ふぇ…だぁ、だぁっ』


　『あ、ごめんごめん!!怖かったね〜、大丈夫だよ?』


　『ひとり、やらぁ、っ』





泣きながら部屋から出てきた慧くんを親の様に泣き止ませる大貴くん。

慧くんを抱っこして、２人でソファーに座った。
すぐに慧くんは落ち着いたんだけど。





　『慧、暇じゃない？』


　『ひまぁ』


　『走るか！』





そう言ってロビーを走り始めた２人。

慧くんがぬいぐるみを握ったまま、走るから隣の棚にぶつかって
乗っかっているペン立てが落ちた。





　「あっ、はさみ危ない!!」


　『…だぁ？』





落ちたはさみを手に取って見ている大貴くんの目は、

心を失った人間の様で、まるでアンドロイドの様だった。

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