第104話 限界突破 ページ18
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頰を掻いてやれやれと一人零すと、この隙を待ってましたと言わんばかりに四体同時に私を囲って現れ、嫌らしく笑った呪霊。
しかし不意打ち防止で囮を作っていたのが吉と出て、「学習しろよ」とまたまた呪霊らの背後から刀身を伸ばした刀で纏めて薙ぎ払った。
「どうせこれも本体じゃな…っ、」
先程と同じく溶けて消えた、と思ったら溶けた先から融合して体を作り、受け身が間に合わずガツンと重い一発を頭部に受けてしまう。
グラつく思考では幻を作る事も儘ならなく、更に数発受けてしまえば、向こうの皮肉な策略で今度は私が呪霊に踏まれていた。最っ高に性格が悪い呪霊には憤りを通り越して最早冷静になる。
痛いわぁ、女っていう繊細な小動物知ってるのかな…あー痛い、痛いけど考えるか。分裂若しくは分身出来る数…は考えても意味無い?本体の見分け方が重要かな。でもパッと見いないもんなぁ…どうしよっか、
「…あはっ、分かっちゃったぁ」
アドレナリンだか何だか知らないけれど、危機的状態と状況に陥って自分のあれこれが狂ってしまったのだと思う。じゃなかったら相手に踏まれて、こんな血を流してる中、口角を上げる事なんて先ず無いだろう。
決して自分が投げやりになっているのでは無い事を理解して欲しいのと、奴の判別法が分かった事は確かであり、その上で勝利が軽薄にも見えてしまった故の笑顔なら、許されるのではないか、なんて。
一種の興奮状態で直感的な警鐘が鳴り響いているような、ええと、こういうのを確か、火事場の馬鹿力と言うんだったっけ…違う?まぁどうでもいいや。
ただ本能的に、ほぼ無意識に、手は印を結んでいた。
「__領域展開、」
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作者名:柊ひな | 作成日時:2021年2月26日 21時