【呪術廻戦】呪われた世界の片隅で ２

第８４話 光属性の慰謝 ページ38

虎杖side



彼女のことを例えを用いて説明する際、"嵐のような人"だと言えば全人類が頷くであろうと、俺は思う。


それ程までに彼女という存在は厄介で厄介で…よく絡まれる伏黒に同情するようになったのは最近の事ではない…偶に、俺も乗っかって悪ノリするけれども。



…そんな問題だらけの彼女は、先程から体育座りの中に顔を埋めたまま動かない。

時折、鼻を啜る音が聞こえるだけ。



虎杖「どうしよう伏黒…謝った方がいいのかな……」

伏黒「何に対して謝るんだよ。寧ろ早朝から呼び出された挙句茶番にまで付き合わされてんだぞ」

虎杖「でも、なんかほら…泣いちゃったじゃん…」

伏黒「100%嘘泣きに決まってんだろ。さっきからずっとチラチラこっちの様子窺ってるだろ」

虎杖「うーん…でもなぁ……俺、前に泣かせちゃったしさぁ…負い目があるというか……」

伏黒「あれはお前が悪い」



痺れを切らして伏黒に小声で相談するが、まともに取り扱ってくれる様子はなく、眠気が覚めてきた頭で打開案を模索するが普段使い慣れていないせいかロクな答えが出てこない。


嵐に襲われると分かっていながら、わざわざ巻き込まれに行った自分も自分だけれど、ちょっとした興味本位、面白半分であった事を、どうか分かってほしい。



虎杖「……さ、桜小路さぁーん？」

「……」

虎杖「…あっ、苗字じゃなくて名前で呼ぶんだっけ…えっ、と…じゃあ……A、でいいんですか…？」



畏まって恐る恐る小声を出せば、「………うん」と、くぐもった声が返ってきた。

返事があったことへの歓喜を胸に秘めつつ、この流れで先程の元気に戻していこうと…


……戻さない方が大人しくて良いのでは？


…いやいやいや駄目だ。何を考えているのだ自分は。元気のない彼女など彼女ではないのだし……確かに、早朝テンションにしてはかなり酷かったけれど…



虎杖「…うん！じゃあ、折角早起きしたんだしなんかゲームでもして遊ぼう！なっ！？」

「………マ〇カー…」

虎杖「よしっ採用！！釘崎も起こしてみんなでやろーぜ！！」

「〜っ、公式の主人公…！！」

虎杖「その呼び方はやめてくれるかな！？」



…変な気を使わないで済むのだから、やっぱりいつも通りの彼女が一番か。



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