第75話 ページ29
伏黒side
「へぇ、じゃあ今日は取り敢えず休みなんだ」
伏黒「高専側も事態を把握するのに時間が掛かってるんだろ。交流会続行の有無も今日決まるだろうな」
「初参加の交流会がこんな結果になるとはねぇ…」
頼まれていた飴玉を渡す任務を無事完了させ、桜小路が伸びをしながら自分のベッドに戻ったのを横目に、これまでを説明する。
途中「いちご味か。無難だな」とか飴の感想を挟んできたので話を聞いていたのか不安だったが、一応聞いてはいたらしい。問題は聞く態度だ。
…窓の外には可もなく不可もない晴れしか広がっていないのに、何をそんなに見ているのだろう。
「…伏黒と私って、似てる気がするんだよね」
伏黒「は?」
「別に怒らなくても…なんて言うんだろ、思考回路?根本的な考え方?自分に卑屈な所って言うのかな…」
「あ、卑屈っていうのは五条先生に言われたんだけど」と俺の目を見て冷静に付け足す桜小路の発言を否定的に捉えつつも、話に耳を傾ける。
別に怒っていないし、どちらかと言えばあの「は?」は驚きの方が感情的には近いのだが。
「__だから、あの時に私が伏黒を止めたのも、伏黒が私を止めたのも…きっと、全部同じ理由なんだよ」
窓越しの太陽光を上手い具合に取り入れたのか彼女の言葉は妙に、胸にすとんと落ちて。
そんな俺を他所に、彼女は更に言葉を紡ぐ。
「…ただ、死んでほしくなかっただけ。生きて、隣にいてほしかっただけ。虎杖を救いたいって思った時と同じでさ、理屈じゃないんだよ」
そう、見慣れない顔で微笑んだ姿に一瞬見入ってしまった。優しい声音が耳を撫で、俺の知る彼女はもっと煩わしい筈だとギャップのある人物像に少し戸惑う。
「ただ、それだけなの」
もう一度ふわりと笑った彼女を見て別人だと確信してしたが、虎杖の話が出てきたのを思い出し、本当に桜小路だったと若干の疑いは拭い切れないが納得した。
交流会から…いや、その少し前、五条先生に自身について尋ねに行った時から、彼女は少し変わった。
…変わった、というよりは本当の意味で心を開いてくれた、の方が正しいのかもしれない。
一体、先生は桜小路に何を話したのだろう。
「……今失礼なこと考えてなかった?」
伏黒「……」
「オイ何で目逸らした。オイ!」
…いつもの桜小路だ。
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柊ひな(プロフ) - プスメラさん» ご期待に添えず申し訳ないのですが、本編では誰ともオチる予定はありません。ただ、番外編や(私に余裕があれば)if短編などのアナザーストーリー的なのを書きたいとは思っているので、そちらで楽しんで頂ければ幸いです。 (2021年2月9日 22時) (レス) id: 35fb09d0e3 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラ - 柊ひなさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願いします。続き頑張って下さい。応援してます。楽しみにしてます。 (2021年2月8日 14時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - カウさん» 面白い人間になることが最終目標の私にとって最高の褒め言葉です!!ありがとうございます(泣) (2020年10月28日 19時) (レス) id: 5c8d05c4fc (このIDを非表示/違反報告)
カウ(プロフ) - 最新話のおかか連呼と夢主ちゃんの薬キメてんなで吹きましたw更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年10月28日 0時) (レス) id: a33c51ed41 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - れさん» ありがとうございます!!「うるさいしウザいけどどこか憎めない」を目指していたのですが「ただただ鬱陶しい奴」になってしまったと後悔していたので、そう言って頂けると嬉しいです!笑 (2020年10月23日 17時) (レス) id: d3c3307496 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年9月28日 20時