【呪術廻戦】呪われた世界の片隅で ２

第７２話 ページ26

.



いつもいつもみんなに助けられてばかりで、肝心な時に役に立たない。五条先生に諭されて、やっと、



「やっと、守る為に力を使えると思ったのに…！」



先程の勢いとは反対に、力無く俯いて自分でも分かる程弱々しい声を発する。傍から見れば存外自分も感情的で、彼と大差ないのだろう。


＿＿そのせいで、前方から感じた凄まじい殺気に気付くのに遅れてしまった。

時間が有限であったのに、等の反省を考えるより前に身体が動き、咄嗟に伏黒を横へと突き飛ばす。



花御『こんな時に仲間割れとは、感心しませんね』



鞠のような形をした木が腹部をかすり、痛みに顔を歪める。滲む赤を止めるように伏黒が手で抑え、私の名を叫んでくるが、そんな事をしてほしい訳ではなくて。


身体の限界が近いのか、声は喉を通る前に消えてしまうし、身体に力が入らないので打つ手がない悔しさに唇を噛み締める。


が、どのみち私に残された体力は少なかったのだ。
伏黒を庇えただけでも、良しとするより他ない。


…そう体良く捉えられる程、私は甘い育ちをしてはおらず、結局の所あの呪いに何も出来なかった事実が脳内を反芻する。



そんな自己嫌悪で朦朧とする中、霞む視界に映った呪いが元に戻っている身体でゆっくりと歩みを進めているのを目の端で捉えた。



本当に最後まで勝手な私は、残された伏黒だけはどうか無事でいてほしいと強く願うと、プツンとそこで意識が途切れてしまったのだった。



.

第７３話→←第７１話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す