第百四十七訓 ページ5
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伊東さんの帰陣を祝して、なんてしていたが結局は自分達が呑んで騒ぎたいだけで、伊藤さんに酌をしていた近藤さんは現在全裸で踊り狂っている。
そのせいか先程から伊東さんの姿が見当たらない。元々真面目な人だし「僕はお先に」なんて言って途中退室する姿は想像に容易い。
中のむさ苦しさに耐えられず飲み直そうと外に出るとひんやりとした空気が心地良く、呑み直すにはもってこいの環境が私を包み込む。
バカ騒ぎの中で飲むのも良いけれど、一人で飲むのも中々乙なもので、あれ、なんか私イイ女っぽくね?なんて自惚れてたりする22時。
通り掛かりの土方さんに見つかっては不味いので、これを最後の一杯と決めて口に運んだ時、後ろから声を掛けられた。
伊東「一人で月見酒かい?」
「偶にはこういうのもアリかな〜と思いまして」
「君は相変わらず酒が強いね」と近くに転がる酒瓶を見て話しかけてきたのは伊東さん。褒め言葉として受け取っておこう。
伊東「そろそろ依存症にならないか心配だよ」
「最近は飲んでませんよ?飲もうとしても土方さんに取り上げられるし、二週間ぶりですかねぇ〜」
酒のせいか、いつもより軽い口調で答えれば顔を歪めた伊東さん。
あぁ、伊藤さんと土方さんって仲良くなかったっけ。
"土方"という単語は彼の前では禁句だったか。
「…そういえば、たくさんの刀ありがとうございます。どれも良いものばかりで、流石です」
伊東「それは良かった。君はああいった物には興味がないと思っていたが、気に入ってもらえて嬉しいよ」
「……大切に使わせてもらいますねっ!」
一本は失くしたけど、という言葉は伏せておこう。良い刀を失くしたとか本人の前で絶対に言えない。私が失くした訳ではないが。
もう三本くらいもいつの間にか折られていた、なんて事も死んでも言えない。私が折った訳ではないが。
その後も色々な話題で会話が続いたが、鋭い彼の前でボロが出ないか自分の発言に気を付けてばかりだったので何を話していたか、正直あまり記憶にない。
別に彼と話すのは嫌いではない。寧ろ好きなのだが、今日は楽しいなんて感じではなかった。
伊東さん曰く「話せて楽しかったよ」…らしいので、次話す時はいつも通り楽しく話せることを願いつつ「また今度ゆっくり話しましょうね」と返し、最後の一口を飲み干して私も自室に足を運んだのだった。
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ばる - 更新ありがとうございます(o^^o)短編集も見てみます!応援しています(*^_^*) (2019年10月23日 21時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 柊ひなさん» なぜか全く身に覚えのない\マークが入ってしまいました…。なんの意味もないのでスルーしてください(T_T) (2019年9月12日 14時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 柊ひなさん» わー!返信頂けると思っていなかったので凄く嬉しいです\(( °ω° ))/申し訳ないことなんてないですよ!柊ひなさんの気が向いたときにでも更新してくだされば私がめちゃめちゃ喜びます\( 'ω')/これからも応援していきますね!! (2019年9月12日 14時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» んんん〜〜!!とっても温かい感想ありがとうございます!!自分の妄想を爆発させただけの作品で喜んでくれる方がいるなんて本当に嬉しいです。週一更新を目指しているのですがなかなか出来ず申し訳ない。。。あー引きこもってたい!! (2019年9月11日 23時) (レス) id: 68ffe842de (このIDを非表示/違反報告)
ばる - はじめまして(*^^*)柊ひなさんの小説、原作に忠実かつ主人公が浮いていなくて最初から最新話まで何回も読み返ししているくらい大好きです(o^^o)これからも柊ひなさんのペースでの更新、楽しみにしていますo(^▽^)o (2019年9月6日 22時) (レス) id: a4bb1cfb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年7月15日 15時