【QK】ターコイズの海に溺れて。【短編集】

行動力の鬼＿kwmr＿ ページ38

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「初めまして、好きです！」

誰がこんな告白をされると予想したことだろうか。

目の前には見目麗しいという言葉がぴったりな女性がいて、その口からその言葉が発せられたのだろうが。

「...どちら様で」

「あっ、私美作Aって言います！美しいに作るで、みまさか」

「それは分かるんですけど、何故急に」

「好きなので！」

「いや、そういうことを聞いたわけではなく」

「あれ、じゃあ好きになった経緯とかですか？さっき見かけて一目惚れしたので告白しに来ました！」

...行動力の鬼だ。

どこの馬の骨かもわからないどころか名前も性格も知らない相手に恋愛感情を抱き、その勢いで告白？

(...いやいや、無理があるだろう)

「それ、本当に好きなんですか？」

「さあ？わからないですけど目を惹かれたので」

「勘違いでは？」

「たとえそうだとしても私、貴方と仲良くなりたいです！お友達にでもどうですか？」

行動力がありすぎてツッコミどころが多い。

どうすれば良いのだろうか。

「...詐欺とかでは」

「えっ、無いですよ！むしろ詐欺に騙され続けて500万取られましたからね！まあ300万は帰ってきたんですけど」

まあ、見てわかる。

正直で真面目で真っ直ぐな人。

悪い人ではないんだろう。

「まあ、友達くらいなら」

「彼女には?!」

「...考えときます」

河村です、と頭を下げる。

改めまして美作です、と帰ってくる。

誠実で、思い立ったら即行動する人。

仕方がなく、が半分。

凄い人だな、と静かに少し憧れがあったのが半分。

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