化け猫アルトは妖に嗤う_izw_ ページ23
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「初めまして、先日助けていただいた野良猫です」
誰がこのような展開が現実にあると想定したのだろう。
「恩返しに参りました」
いや、確かに先日黒猫を助けた覚えはあるのですが。
「何で人間になるんすか...」
「ん、猫の方がいいですか?」
「いや、そういう訳じゃな_」
「ご主人のお望みなら猫の状態にもなれますにゃ」
ぼふん、と煙を起こしたような音の後、目の前に見えていた少女の姿が消える。
「にゃー」
高くはないが低くもない、聞いていて心地のよい鳴き声が足元からした。
その猫は助けたときのようにすりすりと足に頬を寄せ、あざとく鳴く。
チリン
ミント色の首輪が鈴を鳴らした。
『Alto』
あのときと同じ首輪。
先程の少女は本物の猫なのだ。
野良猫と名乗っていたのだから、家はないのだろう。
取り敢えず仕方なく、家の中へ招き入れた。
「えっとー...名前」
「アルトですにゃ!ご主人!」
「ご主人じゃなくて、伊沢」
「ご主人はご主人ですにゃ」
「...まあいいや、アルトは何で人間になれたの」
単刀直入に、一番気になっていた事を聞くと、アルトは首をかしげて少し考えた。
「それが不明なんですにゃー。恩返ししたいなって思ってたらなんかなれました」
「...わかった、取り敢えず普通の質問をしようか。アルトは何でアルトっていう名前なの?」
「あ、それ聞いちゃうんですにゃ?」
いや、聞いちゃうけど。
普通の質問になりきれてなかったか?
「でもご主人がご所望ならばお答えしますにゃ!」
パタパタと耳らしきものを動かして満面の笑みで言う。
そして、言葉を紡ぐ瞬間、その笑顔から中身が抜ける。
「...『アルカトラズ』、を縮めたんですにゃ」
アルカトラズ島。
世界有数の監獄があることで有名な島。
「アルカトラズを冠した『アルカトラズパーク』っていう動物施設があったんですにゃ。でも動物愛護と称しながらも名ばかり、最悪な施設ですにゃ。今はもうないんですけど、この街にいる野良の動物はほとんどがアルカトラズ出身ですにゃ」
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あむ - これ弾いたことがあって印象に残った一曲だったので……もしやと思い! (2019年10月31日 23時) (レス) id: f3e7d915f1 (このIDを非表示/違反報告)
あむ - そうです!私も吹部所属してます!! (2019年10月28日 14時) (レス) id: f3e7d915f1 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - あむさん» バレましたか...とはいっても演奏したことはなくて。凄いですね。題名だけ少しいただいて、後は適当に書かせていただきました← お詳しいんですね (2019年10月26日 8時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
あむ - 星の船……Star ship かと思って…… (2019年10月25日 20時) (レス) id: f3e7d915f1 (このIDを非表示/違反報告)
やまうみ。 - あむさん» 勘違いじゃないですよ、僕は以前吹奏楽部に所属していました。まあ訳あってやめたんですが。詳しいのは「インディゴの波に呑まれて」という作品の穴埋めで少し語らせていただいています。もしかしてあむさんも吹奏楽所属なのですかね? (2019年10月25日 17時) (レス) id: e8e6962fde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やまうみ。 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2019年9月2日 6時