NEW WORLD 2

50 ページ1

次の日、電車に乗って
絶叫マシンのある遊園地に行った。

開園時間を過ぎていたので
すでに園内は人が多くて、
並ばないと乗れそうにない。



「こういうの、平気？」

「並ぶの？」

「うん」

「あんま好きじゃないけど、
Aちゃんとなら平気」



つないだ手を揺らした隆二くんが
笑顔でそう言ってくれる。

うれしさを噛み締めながら歩いて、
ジェットコースターのある場所に向かった。



今日の隆二くんは
白Tシャツにデニムのジャケットを着ている。

休みの日はいつもオールバックにしている金髪を
今日は横に流しているのが、
大人っぽくてかっこいい。

ヒゲは相変わらずだけど、
デートだからあまり怖くならないように
服や髪型を選んでくれたのかもしれない。

何も言わないけど、
隆二くんは細やかな気遣いができる人だと思う。





ジェットコースターの前に行くと
60分待ちという看板が出ていた。

行列のあまりの長さにふたりで苦笑して、
顔を見合わせる。

だけどせっかく来たのだし、と
気合を入れて最後尾に並んだ。



「遊園地とか久しぶり」

「俺も」

「実はジェットコースター乗るの
初めてなんだー」

「えっ」

「子供用の、カワイイやつには
乗ったことあるんだけど。
こういう本格的なのは乗ったことない」



臣くんと遊園地に来たことはあったけど、
ジェットコースターに乗るのは無理だった。

臣くんをひとりで行かせて
自分は下で待っていた。

でも、隆二くんとは乗りたいと思うことが
不思議だ。



「落ちる時の感覚、ヤじゃない？
ヒュンって」

「あー、ヒュンってするね。
俺は結構好き」

「えー！」

「だって普通に生活してたら
ありえないじゃん。
ヒュンってするの」

「だから嫌なのに……」



そう呟くと、笑った隆二くんが
つないでいない方の手で頭を撫でてくれる。

それからこちらに屈んできて、
耳元に顔を寄せた。



「やばい、今めっちゃキスしたい」



びっくりして目を見開いた私に
ニコニコ笑顔を見せる。
まさか隆二くんにそんなことを言われるなんて。



「人前でそういうのしたい方？」

「全然。恥ずかしいじゃん」

「だよね」

「でも今は、したいって思った」

「なんで？」

「……恥ずかしいから言わない」



はにかんだ隆二くんが
私のほっぺたをぷにぷにする。

「ほんと直球だよね」と呟いて、
隆二くんは私を見つめた。

51→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す