NEW WORLD

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スマホとか、
時間が確認できるものは
何も見なかった。

何も考えずに
隆二くんが帰ってくるのを待っていたかった。

おにぎりを食べた後はまたベッドに戻り、
ぼんやりする。

そのまま眠ってしまっていたらしく、
次目が覚めた時には
目の前にニコニコ笑顔の隆二くんがいた。



「おかえりなさい……」

「ただいま。ずっと寝てたの？」

「うん……
一回コンビニ行ったけど、後は寝てた」



頭にタオルを巻いている隆二くんは
作業着姿だった。

今仕事から帰ってきたばかりなのだろう。

起き上がって隆二くんに抱きつこうとすると
「ちょ、汚いよ」と押しとどめられる。



「風呂入ってくるから待ってて」



そう言われてもお構いなしに抱きつくと、
息だけで笑う音が聞こえた。



「現場いたらめっちゃ汚れるし、
汗かいてるから汚いって」

「いい」

「よくないよ。臭いでしょ」



確かに、作業着からは
粉塵のホコリっぽいようなにおいがする。

でもかすかに隆二くんの匂いもして、
首元に顔を寄せた。

汗をかいた、男の人のにおい。

隆二くんならそれも、いい匂いに思える。



説得を諦めたらしい隆二くんが
ぎゅっと抱きしめ返してくれた。

作業着越しに感じる、逞しい体。

どうして隆二くんには、
こんなにくっついていたいと思うのだろう。

隆二くんに対しては
いつでも衝動的になってしまう。



「はい、終わり。
風呂入ってくるから、メシ行こ」



ポンポンとなだめるように背中を叩かれて、
しぶしぶ離れる。

「早く出てきてね」と声をかけると
隆二くんは声を出して笑った後、
頷いてくれた。

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