NEW WORLD

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それから、臣くんに
ちょいちょい嫌な思いを
させられながらも
仕事自体は順調に進んでいった。

毎日隆二くんに電話をかけて、
たまに会いに行って。

隆二くんの声を聞くと
嫌な気持ちがあっという間に消える。

隆二くんといると、
臣くんのことも仕事のことも忘れて
隆二くんのことだけ考えていられる。

私は、完全に隆二くんに甘えきっていた。





『わりぃ、今社外にいるんだよね。
こっち来てくんない？』

今日は、外部設計書ができたので
臣くんに見せて打ち合わせをする予定だった。

なのに、臣くんは社外に出ているという。

仕方なく、指定された場所に向かった。



そこは、FUTURE本社の近くにある
大きめのオシャレなカフェだった。

パソコンを開いて
仕事をしていたらしい臣くんが、
私に気づいて軽く手を上げる。



「なんか食う？メシ時に呼んじゃったし」

「いえ、お気遣いなく」

「俺腹減ってるんだよね。付き合ってよ」



そう言われてしまっては頷くしかない。
仕方なく席に着き、
臣くんに渡されたメニューを見た。



「あーこれ、お前の好きなやつじゃん。
ポルチーニのパスタ。これにする？」

「……」

「なんだよ。
あ、社外だから普通にしゃべっていいよ。
俺ら元は友達だろ？」



臣くんのこういうところが、理解できない。

元カノさえ友達だと思ってしまえるところ。

友達として仲よくできるくらいなら
別れたりしない。

もうこの人と関わるのは
無理だ、というところまで行き着いたから、
別れたのだ。

仕事じゃなければ臣くんとは
二度と会わなかったし、
こうして話をすることもなかった。

だから行きがかり上とはいえ、
一緒に食事をすることも気持ちが塞ぐ。

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