NEW WORLD

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家に帰ってから、
いつものように
隆二くんに電話をした。

臣くんのせいでささくれだっていた心が
『はい』という隆二くんの
柔らかな声を聞いた途端ほどけていく。



「もしもし」

『うん』

「ごはん食べた？」

『うん。……なんか、どうしたの』

「え？」

『なんか、声が変』



隆二くんにそう言われて、首をかしげる。

風邪は引いていないし、喉が痛いとかもない。

普通に話せているつもりなのに
そんなことを言われて困惑していると、
『なんかあった？』と聞かれてしまう。



「んー……仕事がね。
上手くいったんだけど、やりにくいみたいな」

『難しい仕事なの？』

「内容自体は
慣れてるから難しくないんだけどね。
取引先の人がちょっと」



そう答えると、
隆二くんが息だけで笑う音が聞こえた。



『それはやだね』

「うん。その人仕事はできるけど
性格がちょっと……
いや、ちょっとどころじゃなくだいぶアレで」



私の言葉に、今度は声を出して笑う。

隆二くんが笑ってくれると、うれしい。



『なんかね、』

「うん」

『ちょっとトゲトゲした感じになってたから
大丈夫かなって』



自分では自覚がなかったけど、
感じ悪く話してしまったのだろうか。

不安に思っていると
『そうじゃないよ』と
柔らかな声に慰められる。



『思ったんだけど。
嫌なことがあると
トゲトゲしちゃうんじゃない？』

「嫌なこと……」

『今日ヤな人に会ったんでしょ？
そのせいでトゲトゲ復活したのかなって』



隆二くんのその言葉に、びっくりする。

確かにそうかもしれない。

私は臣くんのせいで
男はもうこりごりだと思っていた。

それを最初に会った時
あからさまに出してしまって、
隆二くんにトゲトゲだと思われた。

今日も臣くんのせいでイライラした。

私がトゲトゲしていた原因は、臣くんだ。

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