NEW WORLD

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私が一方的に電話して、
一方的に押しかけて、
一方的に服を脱がせただけの
関係なのに。

今市隆二はそれを受け入れてくれているだけで、
明日になったら気が変わって
もう電話に出てくれなくなるかもしれないのに。



それでも、今市隆二は
気が変わったりしないだろうという
不思議な確信があった。

今市隆二から電話が来ることはないだろう。

会いたいと望まれることもないだろう。

だけど、私が電話したいと思っているうちは、
会いたいと思っているうちは、
それを受け入れてくれるに違いないという確信が。





次の日もまた、今市隆二に電話をした。

いつものように『はい』と柔らかな声で
電話に出た彼に、
「今から会いたい」と伝える。



『うん』

「家に行ってもいい？」

『うん』

「じゃあ、今から家出るから
30分後くらいに着く」

『分かった。気をつけてね』



突然会いたいと言い出したのに、
今市隆二はダメだと言わない。

たぶん、うちに来てと頼んでも
ダメだとは言わないだろう。

出会ってまだ1週間も経っていないのに
そんな風に思えることが不思議で、
それはやっぱり相手が
今市隆二だからなんだろうと思う。





今市隆二の家は、ワンルームのアパートだ。

古くもなく新しくもない、
中途半端な年季の建物。

ダサくもなければオシャレでもない
中途半端な外観のそこへたどり着き、
部屋のインターホンを押す。

すると、中からこの間と同じように
眼鏡をかけた今市隆二が顔を出した。



「おじゃまします」

「うん」



今日の今市隆二は、白いTシャツに
ボーダーのもこもこしたパーカーを
羽織っていてちょっと可愛い。

金髪やヒゲの怖さを帳消しにするほど、
可愛いもこもこパーカー。



今市隆二の部屋には狭いキッチンと、
テレビと、小さなテーブルと、ベッドしかない。

服などは作り付けのクローゼットに
収納されているのだろう。

カーテンレールに作業着が吊るされているのが
職人さんっぽい。


立ったまま作業着をじっと見つめていると
今市隆二も立ったまま私を見つめる。

今市隆二に視線を合わせると、
ニコッと笑顔になった。

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