NEW WORLD

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「異業種交流会に行こう」

「……人の話聞いてました？」



昼休み、会社の先輩である直人さんに
聞かれるまま臣くんの事を話した。

男はこりごりだと思っているとも。

私が話し終えた後の第一声がこれだ。

直人さんはこうしてたまに、
今までの話を丸々無視して
突拍子もないことを言い出す。



「俺そういうの好きなの。
いろんなとこで知り合った
いろんな人集めて交流会」

「合コンの間違いですよね？」

「違う！断じて合コンではない。
人脈を広げる場。
そこで男女が出会って恋に落ちることは
禁止しないけど、それが目的じゃないからね」



臣くんといい直人さんといい、
どうしていろんな人と知り合いたいのだろうか。

私は人付き合いは狭く深くでいいと思っている。

好きな友達は少しでいい。
好きな男は、ひとりでいい。

臣くんや直人さんのように、
仲よくできるなら誰でもいいとは思えない。



「まあまあ。
そんな深く考えなくても。
お前彼氏と別れてから
すっげー落ち込んでたじゃん？
気分転換にどうかなって」

「私の性格上、
知らない人に会うことが
気分転換になるとは思わないので結構です」

「あーあ。
FUTUREの小林さんも来るのになぁ」



意外な名前に、思わず目を見開く。

FUTUREは、
私が今営業をかけている会社だ。

小林さんはFUTUREの社長で、
小林さんさえ説得できれば契約を取れる。



「小林さんと知り合いなんて
一言も言ってなかったじゃないですか！」

「だって聞かれなかったしぃ」

「お願いです、協力してください。
FUTUREの契約取れたら
マネージャーに昇進できるんです！」



うちの会社は、男も女も年上も年下も関係ない。

実力さえあれば上にいける仕組みになっている。

ひとりで生きていくと決めた以上、
昇進して少しでもお金を稼ぎたい。

そのために、なんとしてでも
FUTUREの契約がほしい。



「だからおいでよ、異業種交流会。
紹介してあげる」

「卑怯な……」

「ん？なんかヤな言葉が聞こえたな。
やっぱりこの話はなかったことに」

「あっすみません直人様！今のなしで！」



背に腹は変えられない。

直人さんの言葉が本当なら、
仕事の話だけしていればいいのだから
きっと嫌な思いをすることはないはずだ。

そう思っていたのに。

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