*＊お仕事男子の愛し方２＊* 【N.K】

帰り道 ページ39

時間が経つにつれて、

人は少しずつ減っていく。


今日は平日…、明日も平日だから
人の減りは余計に顕著で


和「そろそろ帰ろっかぁ」



目を赤くしたほろ酔いの和也くんに手を引かれて

座っていた土手から立ち上がると、

和「タクシー拾お」


大通りへ向かって歩き出す。




繋いだ手の指は互いに絡まり合って、

歩くリズムでポーンポーンと
前後に振れる。



和也くんちに戻ったら、
昼間にまとめた荷物を持って自分のアパートに帰らなきゃ。



そう考えると、

足取りが自然に重たくなって


和「ん？Aちゃん？」


急に歩幅が合わなくなったことに気が付いた和也くんが振り返る。



A「……ない」


和「え？」







A「帰りたくない…。」




勝手に自分の口から出た言葉に

和也くんが目をパチクリさせて


和「そーだねぇ。帰りたくないねぇ」



フッと笑うと、

また私の手を引くように歩き出した。



着実に縮む家までの距離…


帰りたくない。なんてワガママ、
和也くんは聞いてくれないよね…





俯きながら、
手は離さないようにゆっくり彼の背中を追う。



和「…もう少し歩く？」



不意に和也くんがそう言って、



和「足の限界が来たらタクシーに乗りましょ？(笑)」





大通りから逸れるように
また、歩き出した。

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