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平野くんの車でわたしのマンションまで送り届けてもらうのは
もう3度目で
出会ったばかりの頃は
平野くんのそばにいるとどうしていいのかわからなくて落ち着かなかったのに
家に近づくに連れて
まだ…着かなければいいのにと、気づけばそう思っていた
でも、無情にも目の前の信号は青で
車は止まることなく進み、そして静かにマンションの前で止まった
紫耀「もっと遠回りすればよかった」
A「…え？」
紫耀「もう着いちゃったから」
離れるのが名残惜しいみたいに
ずるくて、でも…直球で
でも、同じことを思っていてくれたことが
もどかしくも、うれしかった
そして、車のエンジン音が止んでも
お互いにドアを開けようとはしなかった
A「…ねえ、平野くん」
紫耀「…ん？」
A「…前に、言ってたでしょ？
わたしに出会ってなかったら、今の俺はいないって」
静かにゆっくり瞬きをして、わたしをみた彼
暗闇にもその目は澱みなく澄んでいて
それだけでもう、胸が熱くなる
A「……覚えてるよ。あの日のこと。
初めて話した時のこと。」
平野くんはわたしの言葉に目を大きく見開き驚いた顔をして
そして、小さく唇を噛んで照れたように笑った
紫耀「ははっ笑
Aさんはあんなのもうとっくに忘れてると思ってた」
A「…まさかあの時の男の子が平野くんだとは思いもしてなくて
マスターに言われて、ようやく思い出したの。」
紫耀「…そうだよね笑 俺、あの時だいぶ酔い潰れてたし」
A「あの時ね…
平野くんがどんな世界に生きる人で、何を抱えてるかなんて全くわからなかった」
あの時と、今、目の前にいる平野くんは全然違う
わたしの中の…平野くんも、もう違う
A「…でも、酔い潰れた平野くんは…傷だらけで、苦しそうにみえて
ああ、この人はきっと誰にも打ち明けられずに一人で全部抱え込んで、苦しんでるのかなって
そう思ったら、なぜか…放っておけなかった」
あの時を思い出すように
紫耀「…やっぱりAさんは、俺の思ってた通りの人だ」
平野くんはそう言って
柔らかい笑みを口元に落とした
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たむ - もうこの作品の虜です！！続きが楽しみすぎる！！ (2021年7月4日 4時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - part2一気に読みました！再開してくれて、もう一度書く気持ちになってくれて本当に良かったです。素敵な作品なのでこれからも楽しみにしています。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
さおちゃん。(プロフ) - 楽しみに待っています！ (2020年3月23日 20時) (レス) id: 5d40298e40 (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - part2、再スタートおめでとうございます。そして、再掲載してくださりありがとうございます。平野さんとの距離が絶妙で、胸が苦しくて…毎日の楽しみです。これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2020年3月23日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ちづる(プロフ) - 更新ありがとうございます！ゆっくりでいいです(^^)楽しみにしてます！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 74fbd2e6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年3月22日 23時
