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紫耀「……もうすぐまた撮影始まるから、俺行かなきゃ」
この時間を名残惜しむように
子犬のように寂しげな顔をするから
引き留めたい気持ちをぐっと堪えるのに必死だった
A「うん。わかった。
今日は本当にありがとね。撮影、無理しないで」
紫耀「撮影落ち着いたら、絶対すぐ会いにいくから
なるべく時間空いたら電話とかするし
…だからそれまで、どこにも行かないでちゃんと俺のこと待っててね」
どこも行くわけなんてないのに
そもそも、平野くんを前にしてどこかへ行ってしまうような女なんているわけないのに
そんな自分のことを平野くんはわかってるのかわかってないのか
自惚れもせずに不安げにわたしを見つめる平野くんは
やっぱり心配性すぎて
A「どこにも行かないよ笑 ずっと待ってる」
思わず溢れた笑みと一緒にそう告げた
紫耀「…ほんと、Aさんてさぁ………」
すると、突然呆れたような声で下を向いた平野くん
A「…な、なに？」
何事かと思って尋ねると、平野くんは少しだけムクっとした顔で思いがけない言葉を口にした
紫耀「別れ際にそういう可愛い顔しないでよ。
離れたくなくなる」
途端に詰められた距離
耳元からこめかみにかけて優しく包むように差し込まれた手が
自分の方へとわたしの頬を引き寄せる
紫耀「キスしていい？」
そう問いかけたくせに
わたしの返事を待たずに
平野くんの柔らかい唇がわたしの唇に触れた
唇まで優しく温かい温度に胸まで熱くなって
わたしはそっと、目を閉じた
そしてそれはチュ…ッ、と上手にリップ音を立て
ゆっくりと時間をかけて離れた
紫耀「……ふふ、じゃあ行ってくるね」
悪戯な顔して笑った平野くんは
最後にわたしの頭をぽんっと、撫でて
それからタクシーを捕まえて現場へと向かっていった
平野くんが居なくなってもまだ
わたしは立ち尽くしたままその場を動くことは出来なくて
自分の唇に、そっと触れた
キス一つにもう、ドキドキするような歳じゃない
恋人とキスなんて数えきれないほどしてきけど
頭の中が真っ白になるほど、甘く、幸せな
こんな…キスは、初めてだった
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たむ - もうこの作品の虜です！！続きが楽しみすぎる！！ (2021年7月4日 4時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - part2一気に読みました！再開してくれて、もう一度書く気持ちになってくれて本当に良かったです。素敵な作品なのでこれからも楽しみにしています。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
さおちゃん。(プロフ) - 楽しみに待っています！ (2020年3月23日 20時) (レス) id: 5d40298e40 (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - part2、再スタートおめでとうございます。そして、再掲載してくださりありがとうございます。平野さんとの距離が絶妙で、胸が苦しくて…毎日の楽しみです。これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2020年3月23日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ちづる(プロフ) - 更新ありがとうございます！ゆっくりでいいです(^^)楽しみにしてます！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 74fbd2e6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年3月22日 23時
