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時計に目をやるともう23時をまわっていて
社内のフロアにはわたし1人
わたしのデスクまわりについた照明が
ぽつんと光るだけ
A「……はぁ、なんとか終わった…」
凝り固まった身体をほぐすように
椅子の背にもたれて、大きく伸びをした
都心の中心部に建つこのオフィスは、全身がガラス張りで
一面の大きな窓からは、東京の夜景が一望できる
このたくさんの光の中のどこかに
平野くんはいるのかな
…ふとした瞬間にも、考えてしまうのは彼のことで
この眩しいほど綺麗な夜景が
今日は酷く霞んでみえるのは、彼が今…隣にいないからなのか
どこを探したって、あの夜彼の車の助手席でみた
あの光はどこにもない
代わりに、窓に反射して映るのは
誕生日に1人で残業に追われ
疲れ果てた自分の寂しい姿
それはとんでもなく…惨めに思えて
そんな自分を消し去るようにパチン、と最後の明かりを消し、わたしはオフィスを出た
エレベーターを降りると、静まり返ったオフィスロビーには
わたしのヒールの足音だけが、やけに煩く響く
セキュリティゲートを抜けた所で立ち止まり、IDカードをバッグに仕舞うと
わたしは出口のドアまで再び歩き出した
でもその時
コツコツと響いたのは
わたしのとは別の、足音で
そしてそれはわたしの目の前まで来て、止まった
山田「A」
A「……山田くん…？」
山田「こんな時間まで残業してたの？」
A「…うん、っていうか、山田くんまだニューヨークじゃ…」
山田くんはまだ出張でニューヨークのはずなのに
さっきのメッセージだって…そんなニュアンスだったし
山田「滑り込みで飛行機間に合ったから、ぎりぎり今日の夜帰れたんだ」
A「……そうだったんだ。出張、おつかれさま」
空港からそのまま来たのか、山田くんの手元にはまだ大きなスーツケース
まだ顔を合わせることはないと油断していたから
当然、山田くんに会う心の準備なんてできてはいなくて
山田「A、そろそろさ
返事…聴かせてくれない？」
だけど、次に山田くんに会った時
その答えを出さなきゃいけないことは、ちゃんとわかってた
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たむ - もうこの作品の虜です！！続きが楽しみすぎる！！ (2021年7月4日 4時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - part2一気に読みました！再開してくれて、もう一度書く気持ちになってくれて本当に良かったです。素敵な作品なのでこれからも楽しみにしています。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
さおちゃん。(プロフ) - 楽しみに待っています！ (2020年3月23日 20時) (レス) id: 5d40298e40 (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - part2、再スタートおめでとうございます。そして、再掲載してくださりありがとうございます。平野さんとの距離が絶妙で、胸が苦しくて…毎日の楽しみです。これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2020年3月23日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ちづる(プロフ) - 更新ありがとうございます！ゆっくりでいいです(^^)楽しみにしてます！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 74fbd2e6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年3月22日 23時
