20 ページ20
．
．
思い出すのは…
あの日の、平野くんに最後にあった日の
紫耀『…今のは忘れて』
そう…虚しく響いた声と寂しげに笑った顔
マスター「芸能人を本気で好きになるのは、傷つくのが怖い？」
いつになくストレートに放たれた言葉
その言葉にわたしはもう、諦めたように笑った
A「……ほんとに、マスターはなんでもお見通しなんですね
必死に、隠そうとしてるわたしの気持ちも…全部」
ジントニックを、一口飲んだ
わたしには甘すぎるこのカクテルが
今は、痛いほど苦く染み渡る
A「……でも…仕方ないじゃないですか…笑
わたしはただのアラサーのOLで
半年前に、結婚も考えてた彼氏に裏切られて
…恋愛なんてもうしないって、本気でそう思ってたのに」
哀れな自分に無理して笑ってしまうことも
きっとマスターには見抜かれてる
A「…そんな時、彼に出会って…
でも、彼は…平野くんは…大人気のアイドルで、そもそも生きてる世界が違う
……彼を好きになればなるほど…
ふつうの幸せを、いつかきっとわたしは望んじゃう」
掌を、ぎゅっ…っと
握りしめる
A「だから、このまま……今のままが…1番いいんです」
それは何度も何度も心の中で
繰り返し言い続けた言葉
そうして自分を納得させることでしか
バランスを保てなかったから
マスター「彼はさ、誰よりも自分の立場をわかってる。
だからこそ、声をかけるタイミングなんて今まで何度だってあったのに
ただ見てることしかできなかったんだと思う」
マスター「ジントニックすらまともに飲めないくせにさ、いつも店にきて
ただ…Aちゃんをみてた」
優しい目をして…マスターはまた微笑む
わたしよりも前から、平野くんを知るマスターは
わたしの知らなかった平野くんをいくつも知っていて
マスター「でも、そんな彼がAちゃんに近づいたのは
自分が傷つくのを覚悟の上で、それでも本気で大事にしたいって
思ったからじゃないかな」
もう…これ以上
何も言わないで、そう思った
平野くんの気持ちを知れば知るほど
息ができなくなるくらい、苦しくなる
マスター「逃げるのはラクだよ
自分は傷付かずに済む
…でも、本当に逃げていいの？それでAちゃんは後悔しない？」
マスターがいつになく真剣にわたしの目を真っ直ぐみて
わたしの胸にしまい込んだ思いを
引きずり出すように、そう…言った
．
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たむ - もうこの作品の虜です！！続きが楽しみすぎる！！ (2021年7月4日 4時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - part2一気に読みました！再開してくれて、もう一度書く気持ちになってくれて本当に良かったです。素敵な作品なのでこれからも楽しみにしています。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
さおちゃん。(プロフ) - 楽しみに待っています！ (2020年3月23日 20時) (レス) id: 5d40298e40 (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - part2、再スタートおめでとうございます。そして、再掲載してくださりありがとうございます。平野さんとの距離が絶妙で、胸が苦しくて…毎日の楽しみです。これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2020年3月23日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ちづる(プロフ) - 更新ありがとうございます！ゆっくりでいいです(^^)楽しみにしてます！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 74fbd2e6c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わわ | 作成日時：2020年3月22日 23時
