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平野くんが言っていた"来週"はあっけなくやってきてしまって
いつも突然、目の前に現れることも
突然、電話が鳴ることも
あるわけないとわかるから無駄な期待をせずにいられる
でも、わかっているくせに
マスター「いらっしゃい。今日も遅いんだね」
A「新しい契約取れたから、先週から打ち合わせばっかりで」
マスター「おつかれさま」
残業でどんなに遅くなっても、こうしてバーにきてしまうのは
心のどこかで
もしかしたら…ふらっと彼が現れるかもしれないって
期待してるからかもしれない
マスターとの他愛もない会話の最中も
お店の扉が開く音がする度に、平野くんなんじゃないかって…入り口の方を気にして
でも、入ってくるのは平野くんのはずなんてなくて
どこを探してもいるはずのない彼を無意識に探しては
そんな自分に笑えてくる
マスター「おかわりは？同じのにする？」
A「…あ、…えーっと」
マスター「…それとも、こっち？」
空いたグラスを下げたマスターはわたしに短いグラスを差し出した
それは、ほのかに香るライム
平野くんが頼んでいた…ジントニック
わたしはそれを何も言わずに受け取った
マスター「飛び込むのが怖い？」
A「……え？」
マスター「顔に書いてあるから笑」
A「…そ、そんな」
思わず、自分の頬に触れる
唐突なマスターの言葉は、ジントニックを差し出した時点で
なんのことなのかわかってしまった
どこまでもお見通しで、きっと…この人に隠し事はできないだろうと思う
マスター「この前、彼店に来たんだよ。明日からドラマの撮影で忙しくなるから、
当分来れなくなるからって」
A「……そうだったんだ…」
マスター「本当はたぶん、会えなくなる前にもう一度
Aちゃんに会いたくて来たんじゃないかな」
目を細めて、柔らかく微笑んだマスター
マスター「彼もずっと、そうやって入り口ばっかり気にしてたよ」
今はいない平野くんをマスターは思い出すように
彼が座った席を、みつめていた
会えるかもしれないと期待を募らせるのが嫌で
わざと、撮影が始まった日を過ぎてからわたしはバーへ行くようになった
でも、そんなの何の意味もなくて
結局、期待は募るだけで
素直になればよかったと
会えなくなる前にここに来ればよかったと
後悔だけが残る
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たむ - もうこの作品の虜です！！続きが楽しみすぎる！！ (2021年7月4日 4時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - part2一気に読みました！再開してくれて、もう一度書く気持ちになってくれて本当に良かったです。素敵な作品なのでこれからも楽しみにしています。 (2020年3月23日 22時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
さおちゃん。(プロフ) - 楽しみに待っています！ (2020年3月23日 20時) (レス) id: 5d40298e40 (このIDを非表示/違反報告)
あぐた。(プロフ) - part2、再スタートおめでとうございます。そして、再掲載してくださりありがとうございます。平野さんとの距離が絶妙で、胸が苦しくて…毎日の楽しみです。これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2020年3月23日 10時) (レス) id: b86c6074bc (このIDを非表示/違反報告)
ちづる(プロフ) - 更新ありがとうございます！ゆっくりでいいです(^^)楽しみにしてます！ (2020年3月23日 1時) (レス) id: 74fbd2e6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年3月22日 23時
