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車をマンションの前に停車させ、彼はエンジンを切った
降りようとドアに手をかけたけど
彼の思わぬ言葉にその手は止まった
紫耀「それに俺ずっと思ってたんだけど
そのよそよそしい敬語やめてよ。
Aさんの方が年上なんだし。壁感じる」
彼がわたしより歳下なのは理解していたけど
なんとなく芸能人の彼になれなれしくタメ口はきけなくて
それが寂しいと言わんばかりに彼はそう言った
それは少し難しい要求だった
でも…
A「………じゃあ…やめる…ね」
結局、彼に押し負けるように承諾してしまう
紫耀「もうまじで使っちゃダメだから」
A「…うん」
わたしの返答に満足気に微笑んだ彼は、それから律儀に車を降り
助手席のドアを開けてわたしを降ろした
A「…送ってくれてありがとね」
わたしを真正面にして立った彼は
冷えた外の空気に、小さく鼻を啜った
"じゃあ…" って、マンションへ入ろうと彼を背に、足を進めた時
紫耀「…Aさん」
彼が名前を呼ぶから
わたしはまた振り返った
A「………どうしたの？」
紫耀「…ごめん、やっぱ…前言撤回していい？」
目深に被った帽子も
レンズの濃いサングラスも
彼の表情をよく見せてはくれなくて
紫耀「今日はなんにもしないっていったけど、やっぱ無理だわ」
その瞬間…
わたしの視界は見慣れた街の景色から
彼の黒いアウターの胸に包まれていた
A「……ひ、平野…くん…？」
彼の腕はわたしを抱き締めていて
初めて触れる彼の身体は…思っていたよりも筋肉質で
甘い顔立ちからはとても想像がつかない程
男の身体だった
紫耀「…ヨユーねぇ、俺」
早くなった彼の鼓動
同じように早くなるわたしの鼓動も
きっと彼に伝わってしまってるんだと思う
これは…べつに恋じゃない
わかっているけど、やっぱり胸は苦しかった
紫耀「…ごめん」
そういってゆっくり身体を離した彼は
わたしが被ったままだった帽子を取り
紫耀「これ、Aさん専用にするわ」
また、可愛く笑っていた
紫耀「…じゃあ、またねAさん
おやすみ」
A「…おやすみ」
彼の車が去った後のそこには
鎮まらない鼓動だけが
わたしの胸に残されたままだった
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
