◇15 ページ15
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．
すぐに受け取られると思っていた鍵は
まだ、わたしの掌に残ったままで
予期していない彼の言葉に
わたしはもうキャパオーバーだった
A「……どういう意味か、よくわからないです…」
紫耀「そのまんまの意味だよ。
Aさんにまた、会いに来て欲しいから」
一夜限りの関係
これは彼にとって、暇つぶしの遊びに過ぎないはずで
それでもまだわたしとの繋がりを断とうとしないのは
後腐れなく、ただ欲を満たすだけの
そんな関係を望んでいるからとしかわたしには思えない
それなのに
彼の目も、声も、表情も
それを望むにはアンバランス過ぎて
胸の中は、掻き乱されるだけ
A「…遊び相手とかそういうのが欲しいなら、わたしじゃなくたって…いいじゃないですか
…わたしはそんなつもりじゃ…」
別の世界に生きる彼と
先の見えない暗い闇の中に堕ちるような関係に
なんの価値もないことはちゃんとわかっているし
そんな関係に夢を見られるほど、わたしはもう子供じゃなかった
だから
今ならまだそういうことにして全部忘れるから
ただ、遊びだと
そう…言って欲しい
紫耀「遊びならわざわざこんなことしない。
俺は、Aさんがいいの」
どうして…
悪戯に笑いながら、遊びだと言ってくれたら
わたしはこの鍵を無理矢理にでも彼に握らせて
この部屋を出ることができるのに
A「…どうして
………どうしてわたしなんかにこだわるの？
…わたしのこと、何にも知らないくせに」
紫耀「…知ってるよ」
A「知ってるってなんっ…」
紫耀「名前は立花Aさん。
27歳。俺の5個上で、
カウンターの左から2番目の席に座って
いつも最初に飲むのは赤いラベルのシャンパン」
それは当然、彼に教えたことはないことで
でも、それは全部…正しかった
紫耀「……その人は…
責任感が強くて、思いやりがあって
自分のことは後回しにして、人の為に動いちゃうようなお人好しで
でも、しっかり者で強そうに見えるけど
本当は…寂しがり屋な人」
優しく紡がれた言葉が
目頭をじんわりと…熱くする
紫耀「ちゃんと、知ってるよ。俺」
彼の透き通る目は
もう、疑う余地もないくらい
ただまっすぐに
わたしをみていた
．
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たむ - めちゃくちゃ面白くて引き込まれました！！これを楽しみに仕事頑張ります！！更新される事を待っています(>_<) (2021年7月4日 3時) (
レス) id: 7855f798e1 (このIDを非表示/違反報告)
サンリオ(プロフ) - 更新されていて嬉しいです。ありがとうございます (2020年3月14日 16時) (レス) id: ff278406bf (このIDを非表示/違反報告)
ラピス(プロフ) - 初めまして。読ませて頂きました。確かにきっかけは何でもいいとおもいますよね。人を好きになるって力をくれますが…切なさとかもあったりして色んな感情を与えてくれたりしますよね。お話し楽しみにしてます。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: a9f033db9b (このIDを非表示/違反報告)
Azuki(プロフ) - 初めまして。更新ありがとうございます！素敵なお話で楽しみにしていました。続きもとても気になります！応援しています。 (2020年2月27日 20時) (レス) id: 8005b02827 (このIDを非表示/違反報告)
わわ(プロフ) - みゆさん» コメントありがとうございます！！更新がんばります！ (2020年2月2日 21時) (レス) id: 1ed40d5049 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わわ | 作成日時：2020年1月25日 19時
