【ヒロアカ】超常現象ホログラム (ページ2)

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真新しい右目の傷を擦(なぞ)り、ぷくっと膨らんだ箇所をいじる。割れたフロントガラスが右目に刺さり、額から頬にかけて右目を横断するように傷跡が走っていた

後から隊長に聞いた話によると、治崎廻の護送車を襲ったのは最近過激化している敵連合だったらしい。死穢八斎會と敵連合が手を組んだとか裏切ったとか、そんな話だった

戌井「下手に傷をいじるな。悪化するぞ」

『……元はと言えば戌井さんのせいです』

そう、彼は運転が荒い。とにかく運転が荒いのだ。これで気性も荒かったらと思うと手遅れすぎて身震いする
性格は名前のまま犬のような感じで、良く言えば元気で素直…だが、悪く言えば落ち着きがない

『ていうか、スマホ返してください』

戌井「どうせまた相澤に連絡してたんだろ〜？」

『……まあ』

戌井「返信来ないだろ、彼奴忙しそうだし。この前の八斎會の事件にも絡んでたらしいじゃん」

相澤先輩は私の先輩で、戌井さんとは同期である
私は相澤先輩に憧れ、尊敬していたのだが、今は何故かこの正反対な戌井さんと機動捜査隊…通称〝機捜〟で相棒として働いている

『( まあ、もっと正反対な位置に存在する人はいるが… )』

と、あの山田先輩を思い浮かべる。彼の声量に耐えきれず鼓膜が破れかけた時は、「産声で両親と分娩医が耳から血を出したらしい」という相澤先輩からの話に『あ〜…』と返すしか無かった

『いや、返信なら来てますよ。しかも写真付きで』

返されたスマホを操作し、白髪の幼い女の子の写真を戌井さんの前に持っていく

戌井「いや、今見張り中だから見れな………っぇぇえええ！！！？」

『見張り中でしょう、ほら前向いて』

戌井「いや、おま…お前な………」

先程までの集中力は何処へ行ったのか、少年達から目線を外していなかった彼はこちらをちらちらと見て「子供か？相澤に子供がいたのか！！？」「しかもまあまあ成長してんじゃねえか！5歳くらいか！？」と喧(やかま)しい

『違いますよ。先週の死穢八斎會の事件で保護された子らしいです。個性消失弾の商売道具にされてたとか…この辺はかなり胸糞悪いので深くは言わないでおきますが』

戌井「あー…そういうことね。治崎の個性、オーバーホールだっけ？分解に修復、融合……まあ嫌な想像しか出来ねえわ」