向井くんの向かいの家 (ページ11)

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午後11時

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

『こんな時間に誰なんだろう…』

こんな夜遅くに訪問なんて…

『はい…って』

「寒いから開けて」

『わ、分かった…』

ｶﾞﾁｬﾘ

深「ふぅ～、暖か」

向「お邪魔します…」

『え、急に何？』

深「こないだの話

ちゃんとお話聞こうと思ってね」

『もうその話いいよ』

深「よくない

もしもの事があってだからね」

向「ほんまにごめんなさい

Aちゃんから誘って来たけど、俺が止めてたら良かった事やもんな

迷惑かけて本当に申し訳ない」

『む、向井くん！！顔上げて』

深「康二」

向「俺は先に帰っときます

2人で話したい事もあるやろうし」

深「分かった

夜遅くにごめんな、」

向「ええですよ

おやすみなさい」

ｶﾞﾁｬﾝと部屋から出ていき、帰っていった

『…』

深「……」

この沈黙を破った兄

深「もしも、子供が出来たらどうするつもりだったの？」

『…』

私はこんな大事になると思っていなくて、本気で兄が心配しているのが分かる

『そこまで考えてないよ

あの時、お酒を飲みすぎてた頭では考えられない

欲のまま動いてた

欲望に忠実に』

深「今だったらどう思う？子供出来てたら」

『お酒の勢いでの事…

相手が私に好意を持ってるか知らないから…

下ろすかもしれない』

『相手はアイドル、迷惑なんてかけたくないし、ファンの皆をがっかりさせたくないから』

深「Aがした事がバレればファンはがっかりすると思うよ？」

兄の言葉が一つ一つ胸に刺さる

この人、正論だ」って

私は返す言葉を失い、再び黙る

深「これから気を付けてよね

俺らまだまだデビューして間もないからさ

悪い情報で名前覚えてほしくないから」

『…

そう、だよね

私の不注意だった』

深「もういい

康二も仲良くしたいって言ってたし、もうこの話終わり！」

深「何せ、Aなら安心だから」

最後に言ったこの言葉の意味は私に分かるのだろうか…