19. ページ19
.
「もうお腹いっぱい…」
『えー少食なの？』
いやアンタが食べすぎなんだよ…
果てしなく食べ続ける陸にもはや感心する
そんな彼にも限界はあるらしく、
『俺ももういらないや』
そう言って箸を置く
「食い過ぎでしょ…」
『明日はジム行くからね〜食べておかないと』
そっか…この人の毎日は明日も滞りなく回るんだ
その時にはと我に帰る
この人は私と同じ世界の人間じゃないんだなと。
今日はどこで寝よう。明日はどうしよう。
さっき全てを終わらせようとしてたから、そんな事は考えてなかった
『よーし、帰ろっか』
そう言って立ち上がった陸の後ろをついて行く
カードでサクサクと支払いを終わらせる陸に、財布の中にいた、なけなしの諭吉を差し出す
『Aちゃんを元気付ける会だから、俺の奢り』
ふわっと撫でられた頭
キュンと一瞬締め付けられた胸…
いやいやいや！キュンじゃねぇよ…！！
落ち着け私……
1人でドンドンと心臓を叩いていると
どうした？と不思議そうな顔で私を見る
『帰るよ、おいで？』
「え…アンタん家…？」
『うん、俺流石に襲ったりしないよ？』
「や…まぁ…」
こっちこっち、と手招きをする彼にこれ以上の迷惑をかけてはならないと私の脳が言っている
「大丈夫…」
『ん？』
「大丈夫、ちゃんと自分ち帰るよ」
『え…でも彼氏が…』
「追い出すから！大丈夫！」
私、ちゃんと笑えてる？
心配しないでって、出来る限りの笑顔を見せる
『…わかった、気をつけて』
「うん、アンタもね」
『ははっ、じゃあ』
「うんっ…」
ちょっとずつ遠くなる背中
もう、彼には2度と会えないだろうか？
まだ、言わなきゃいけない事言えてない
「あのっ…陸！あ…ありがとうっ…！」
初めて呼んだ彼の名前
彼はポケットに手を突っ込んだまま、体を私の方に向き直す
『どういたしまして〜』
最後にニコっと笑った彼は、都会の人の波に消えた
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 954人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬう(プロフ) - ゆらさん» すみません、存じ上げません。人様の作品の引用等はしておりません。ご不快に思われたようでしたら申し訳ございません。 (2020年2月19日 8時) (
レス) id: a381596225 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 最新の短編集と全く同じ内容かつ同じ台詞の作品を他サイトで拝見した事があるのですが、もし引用されていらっしゃるのであれば明記された方がよろしいのではないでしょうか？少し気になった為コメントさせて頂きましたm(_ _)m (2020年2月18日 23時) (レス) id: 676fbb6c14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぬう
| 作成日時：2020年2月9日 0時
