僕等は、何を求め 2 (ページ10)

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「翔くん？どうしたの？」

近寄って俯いている彼の顔を覗くと真っ青だった。

「…智くん…。」

「ん？」

「…ごめ、何でもない。」

顔を上げて笑顔で俺にそう言う翔くん。
でも、笑顔がどこかぎこちなかった。

「…なんかあった？」

様子が変でこのままじゃダメだと思ってそう聞くけど。
彼は弱々しく首を振るだけだった。

とりあえずここに居てもあれだし、靴を履き換えて教室に行こうと彼の手を握る。
けど、靴も履きかえず佇む彼を疑問に思って。

もしかして、と靴箱を開くと。

「…な、にこれ…。」

あらゆる虫の死骸が翔くんの上靴に散らばっていた。

「…智くん、俺…。」

「スリッパ借りに行こう。ほら、行くよ。」

翔くんを引っ張って職員室に行ってスリッパを借りに行った。
それを見ている人がいるとも知らず。