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お兄ちゃんが来てくれた翌日、今度は笑未が来てくれた。
明日は休日だから、お泊りもかねて。
「適当に荷物置いといて〜」
『あ、うん…』
笑未がじっと見ていたのは、キッチンに置いてあるお揃いのマグカップだった。
…あれ買ったとき、結婚しましょう!!!とか叫んでたのに。
『別れたって紫耀くんから聞いたよ』
「あー…うん、振られちゃった。でももう元気!昨日お兄ちゃんが差し入れしてくれたの。一緒に食べよ!」
『空元気すぎるよ、流石に。7年ぐらい好きなのにそんなすぐに忘れられないでしょ』
そりゃあ、まあ。
毎日告白するぐらい好きだもん。
『なんで振られたの?』
「さあ」
『今日浮所先輩の学部のとこ通ったけど、すっごい聞かれてた、Aとのこと』
「……ふぅん」
先輩はかっこいいし、優しいし、運動もできるし、賢いから。
きっとすぐ、隣には違う女の子が立つんだろうな。
『でさ、別れた理由聞かれてたの。そしたら、“俺だって別れたかったわけじゃない”って言ってた』
「……よくわかんないや、先輩のこと。」
昨日のプリンも、それも、空耳かもしれない『ごめん』も。
『何かあったんだろうね』
「ね。でももう私には関係ないんだよ…あー私、多分これからもずっと先輩のこと好きだなぁ」
だって、まだ家に先輩の服あるし。
目に見えるとこにおいてたものは、知らない間に先輩が持って帰ってたみたいだった。
歯ブラシとか、化粧水とか。そういうものはなくて、私のクローゼットにしまってあった服だけが今もそこにある。めっちゃいい匂い。…こういうとこ、高校生の時から成長してないよな私。
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作者名:ぬれおかき | 作成日時:2021年7月6日 0時