ズルいよ、ズルいね【浮所飛貴】 (ページ23)

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でも、私にそんなこと言われたって話が全く見えない。

結局なんで別れたのか…あ、結婚するからか。

『お互いこんなこと望んでないんだ、だから…どうにかしてぶち壊そうと思ってる』

「会見を？」

『そう。』

「えっ…えっ？」

ドラマ？漫画？映画？
どうやってぶち壊すんですか？
お互い望んでないってどういうこと…？

「ちょっと疑問ありすぎます」

『あ、一番大事なこと言ってない！！！』

「びっくりしますから！！！何ですか？」

『俺、Aのこと好きだよ、今も。』

「……はい？？」

それじゃ…え？

『だから、俺が会見を乗っ取れたら…結婚してほしい』

「ハイ？？？急すぎませんか？！結婚？！！！付き合ってもないのに？！！」

大昇はどうなるの？そんな急に言われても…
第一、そんなこと可能なんだろうか。
いろんな大人が絡んでそうなのに、そんなに簡単に乗っ取れるものなんだろうか。

『だよな……ごめん、ずるいのは分かってるんだけど…俺、A以外との未来とか考えられなくて』

「先輩…」

どうしよう、すっごい喜んでる私がいる。
大昇がいるのに。
いや、…やっぱり無理だよ、そんな無謀なこと…
それに、先輩は社会的にどうなるの？私になんて全く想像できないけど、絶対いい方向にはいかないよね…

手を伸ばせば届くのに。触れられるのに。
本当に私と先輩は、もう二度と交わらない運命だったのかな。
世界が違いすぎて、私、好きとかそんな気持ちの前に、全然他人事にしか考えられないよ。

「私、大昇と付き合ってるんです。すっごく優しくて。大事にしてくれてます。…私のせいでもしかしたら先輩は人望を失うかもしれないし、そんなこと、…やめてください」

『…でも、…じゃあ、俺が迎えに行くのは自由だよね？』

「…え、どういうことですか？」

『待ってて。俺、どうしてもAのこと諦められない。巻き込みたくなくて別れようって言ったけど…もう、Aは俺のこと、』

「やめてください、今は…わからないです…」

結局、先輩が何を企てているのか、私にはさっぱりわからなかった。
私の家まで送ってくれたけど、会話らしい会話もできずに終わってしまった。

迎えに行くって、どういうことなんだろ。
私、どうしたらいいのかなあ？
振られた理由を知って、どうすればいいのか余計にわからなくなってしまった。
自分の気持ちさえも。

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