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「先輩、どこまで行くんですか?」
『駐車場』
「……はい?」
校門を通り過ぎて連れてこられたのはまさかの駐車場。
…え、私ほんとに誘拐されちゃいますか?身代金なんて用意できません…あぁさようなら今までありがとうみんな…
『ごめん、ちょっと車乗ってもらってもいい?』
「……ドア開けながら言うセリフじゃないですよ」
助手席のドアを開けながらそんなこと聞かれたら喜んで乗り込みますよ…
はぁ今日も先輩かっこいい…
「じゃないわ違う違う、平常運転ダメ私!!!」
『…あの、話していい?』
「あ、すみません!!どうぞ!!!あ、お久しぶりです!!!!」
いつも通りの私だったからか、ずっと真顔だった先輩が爆笑しだした。
変わんないね、って。
じゃあ先輩は変わったんですか?なんて愚問か。
『まず、いきなり別れようなんて言ってほんとにごめん。』
「えっと……?神崎さんに気持ちが移ってた、んですよね?」
『いや、…そうじゃないんだ』
「へ?」
実は、と前置きされて変に緊張感が高まる。
『俗にいう、政略結婚…』
「……え、マジっすか」
『マジ…』
「じゃあ私失礼しますね!!!暗殺されちゃう!!!スナイパーに狙撃されちゃう!!!」
『あー待って待って!!そんなこと起きないから!!!話聞いて!!』
今すぐにでも車を降りようとした私の腕を控えめに掴んだ先輩。
それだけで心拍数上がってるんですけど…ばれないかな。
これじゃ先輩のこと好きみたいじゃん。……ダメなのに。
「ていうかテレビで見ましたよ、会見開くみたいな」
『そうなんだよ、それが急に知らされて…』
先輩によると、会見の存在自体は知っていたけど中身は知らなかったんだそう。
その中身、というのが、マスコミに向けたものとマスコミ以外の一般人…どこかのお偉いさんとからしいけど。そういう人たちに向けてのものとがあるらしく。
『会見…マスコミが来る前にパーティーがあるんだけど、そこで招待客にお披露目するんだ』
「先輩をですか?」
『いや……神崎さんを。婚約者として、正式に発表する』
え、私帰った方がよくないですか??
そんな遠い別世界のお話ちょっと脳が処理しきれません…
『そうなったら、本当にもう後戻りできない…結婚するしかなくなる』
「え、…政略結婚ですね…」
『それ最初に言ったじゃん…』
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作者名:ぬれおかき | 作成日時:2021年7月6日 0時