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「洋食久しぶりだねぇ」
『和食にはまってたけどそろそろ飽きてくる頃かなぁと思ったから』
「ほんと大昇嫁に欲しい」
『俺は平野がお嫁さんに欲しい』
「…ドキッとした」
はいはい、と適当に私をあしらって(おい)、ノールックでテレビのリモコンを取り出して部屋が少し明るくなった。
「うわぁ…胸キュンスカッとってフィクションだよね?ね??」
『普通の高校生にはないよね笑』
「大体屋上開放してる学校なんてないでしょ〜」
『そうだよなぁ』
屋上で告白とか!ないからね!!!
怖い嫌味な女子は実在するけど、そんな漫画みたいな展開、ないからね!!!!
「ねぇ、新しい恋したいなぁって思ってるんだけど私」
『感化されたの?』
「うん」
『即答か』
こんなドラマみたいな恋じゃなくていいの。
また、あの時みたいな恋がしたいの!!!!
「好きになりたい!!!」
『近所迷惑』
「たいしょう!!」
『…なんか嫌な予感するんだけど変なこと言わないでよ?あ、いつも変なことしか言ってないな…』
変なことって何よ!!!
どういう扱いなの!!!
私のこと一応好きでいてくれてるんだよね?もしかしてドッキリ??
「普通のこと言うから!!」
『その宣言からしておかしいじゃん』
「私、大昇に恋したい!する!!!しよう!!!!」
『……は?』
半開きの口に、色素の抜けた真っすぐな目を見開いている。
暫くして瞬きをした後、ため息をこぼした。
『恋ってしようと思ってするもんじゃないでしょ』
「でも私は、…大昇のいいところいっぱい知ってるし、…その、…大昇のこと好きになれたら幸せだろうなって思って…」
…地雷踏みました…。
わかってるよ、まともなこと言ってないって。
酷いこと言ってるって。
でもね。
ほんとに思ってることなの。嘘じゃないよ。
辛いとき、支えてくれて、笑顔にしてくれて、美味しいご飯も作ってくれて、話し相手になってくれて。
そんな人、中々出会えないよ。
素敵なところがありすぎて、好きになれたらいいのに、って思っちゃったんだもん。
…ごめんね、我儘で。
先輩のこと、もう忘れたいの…
『じゃあちゃんと付き合おう、中途半端は嫌だ、俺』
「…へ、いいの…?」
『え、嘘だったの?!』
「や、ほんとに思ってるの!!でも、我儘すぎるし…」
『いいよ、付き合おう、俺たち』
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こうして、私は大昇の彼女になった。
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作者名:ぬれおかき | 作成日時:2021年7月6日 0時