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『………それ、初めて聞かれたかも』
いや溜めてそれかい。
『好き』『なんとも思ってない』『妹みたい』でもなくて『初めて』ってそっちかい。
そこの感想求めてないんですってば…
『めっちゃがっかりした顔するじゃん笑』
私を見てケタケタ笑う先輩。
そりゃあそうでしょうよ。
「思ってた答えの種類の斜め上だったので」
『そっかぁー、斜め上ねー』
何を考えながら言ってるんだろう。考えてる姿もかっこいいしいちいちときめく私はバカなのかな。
バカなんだけどね!!!
「で、どう思ってますか?私は先輩にとってどんな存在ですか?」
『…』
「…」
何も答えずにじっと見つめてくるのはなんでなんだ。
顔がいい、シンプルに顔がいい、私の好きな四字熟語浮所飛貴です。
「私は、先輩にオンリーワンの魔法をかけられたいです」
『へ?オンリーワン?』
「先輩にとって特別な存在になりたいってことです!!」
ぽかんとしていた顔から一変して、なぜか笑い出した先輩。
『あはは、そういうことね!そっかそっか』
「もう、笑わないでください!私は真剣に先輩のことが好きです!」
『知ってる』
『俺も好きだよ』
「………ぇ」
待って、今なんて言った?
好きって言った?え?
え?
「好きです、浮所先輩のこと」
『うん、俺も平野のこと好きだよ。とっくに特別な存在だよ』
「ほんとに…?」
『うん、ごめん、ずっと言わなくて。…あ、そろそろ外でよっか』
ほら行くよー、と手を引かれてうまく働かない頭のままお店を出た。
会計はさらっと先輩が済ませてくれた。
『平野』
顔をあげると、あの夢と同じ光景が広がっていた。
…桜ではないけど。
風が吹いて、先輩の髪がサラサラ揺れて。
花は咲いていないけど、代わりに鮮やかな緑の葉をつけた木が十字路の向こうにたっている。
『いつも好きって真っすぐ伝えてくれる平野のことが好きです。俺の彼女になってください』
「先輩好きです、大好きです!!!!!んぐっ」
ぎゅっと頬っぺたを寄せられた、いやなんで?!!!
ちょっと膨れた顔尊い!!
『俺の彼女になってくれないの?』
「あ、なります!!是非!!」
『ふっ…あははは、もうほんと面白い笑 好きだよ』
「私はもっと好きです!!大好きです!!」
自然に握られた右手。
さっきは繋げなかった代わりに、ぎゅっと握りしめた。
【完】
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作者名:ぬれおかき | 作成日時:2021年4月2日 22時