Want you! Want you! 2【浮所飛貴】 (ページ27)

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お兄ちゃんがご機嫌だ。

因みにいうと、

笑未もご機嫌だ。

「……いい加減その顔やめてくれない？」

目の前の緩み切った頬の持ち主…自分の兄にそう頼んだら、今度は真顔でこっちを見てくる。
なんだよ。

『だって仕方ないじゃん、笑未ちゃんの浴衣姿とか楽しみすぎる』

「……お互い同じこと言ってんな…」

『なんて？』

「ひとりごと」

ほんと早くくっついてほしいこの人たち。

私なんか浮所先輩実家にいるから今日はお留守番だよ？
こんな悲しいことある？ないよ。

お祭り好きなのになぁ。
花火とか、屋台とか。夏を感じられて好きなんだけど。

落ち込む私をよそに、薄情な兄は嬉々としてで出かけていった。

お母さんが一応って浴衣を出してくれたしなんなら着せられてるけど…
生憎、ひとりぼっちだからお留守番なのだ。

「…部屋着に着替えよ」

どうせ行かないし。
ケータイいじっとこ。課題はめんどくさい、こんな日にしたくないもん。

髪飾りを外そうとしたとき、誰かからメッセージが来た。

――――――“今日の祭り一緒に行こ”

「…たいしょう、」

折角だし…行きたいな。

大昇が迎えに来てくれるみたいで、あと20分ぐらいで着くらしい。
今日のお祭りは有名だから大昇も知ってたのかも。

「お母さん、やっぱりお祭り行ってくるね」

『あらぁ～、好きな人今名古屋なんじゃなかったの？』

「んー…また別の友達。」

『そう、まあ気を付けて行ってらっしゃい！』

玄関で下駄をはき終わったと同時にインターホンが鳴った。
急いでドアを開けると、浴衣を着た大昇が立っていた。

『……よ』

「こんばんは？こんにちは？」

『こんばんはじゃね？』

「あは、そっか」

鍵を閉めて2人で開催地まで歩く。

大昇の雰囲気と浴衣の落ち着いた感じがぴったりで、いつもより大人っぽかった。

『浴衣、』

「え？あぁ、お母さんが一応って着せてくれてたの。
ちょうど着替えようとしたら連絡来たから、大昇天才かもね笑」

まじ？と少し笑ったあとでこっちを向いた。

『浴衣似合ってる、可愛い。あ、平野がね』

「………は、」

『唇真っ赤じゃん』

「え、ちょ…これは塗られたの、浴衣の時は紅の方がいいってお母さんに！」

『へえ、そうなんだ～、確かにそうかも…ま、いっつも可愛いと思ってますけどね～』

ああもう、大昇のせいで心臓がうるさい。