Want you! Want you! 【浮所飛貴】 (ページ37)

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「先輩！」

『あ、平野！声聞こえた。ありがとね！』

「いえ、全然です！お疲れさまでした！かっこよかったです。惚れ直しちゃいました！」

『ありがと』

神様仏様お兄様
タオルを首にかけて、スポドリ片手に立っている先輩。
…だけなのになんでこんなにかっこいいんだろ。

『今日は一人？客席多くて見えなかったんだよね、声は聞こえたんだけど』

「笑未と2人なんですけど、あっちでお兄ちゃんと話してるみたいです！」

『そっか。あ、あずさ』

私の後ろに目線が行って、それを辿ると。

『お、お疲れ…』

「あずさ先輩！来てたんですか」

『うん…』

ゆるふわな髪に、ラテ系の服。
先輩の性格にぴったりな可愛らしくておっとりした印象。

『あずさも来てくれてたんだ！あ、でも俺じゃないか、応援してたの笑 “も”っておかしいか笑』

違うんです、あずさ先輩は。

『う、ううん、浮所くんの応援に来たの！かっこよかった、です…』

あずさ先輩は、浮所先輩のことが好きで

『マジで？！嬉し、ありがと！』

『私も浮所くんのテニスしてるところ見れてよかった』

でも私も浮所先輩が好きで

だけど。

話に花が咲いて、私とは反対方向を向いて話してる2人。

…私、邪魔者だ。
あずさ先輩とお互い悔いのないようにって言ったから
ここは引かないとだめだよね…

暫く、周りあるいとこ…スマホしか持ってきてないし。
だってさ、あんなの見たら、ね。

思ったことはすぐに言って、毎日告白してる私と、
さっきみたいに恥ずかしそうに頬を赤くして話すあずさ先輩。

あまりにも対極すぎて。

やり場のないこのモヤモヤを、道端に転がっている石にぶつけた。
申し訳ないなとは思いつつもいい感じに飛んでいったからお咎めなしで。

適当に友達のインスタのストーリーを見て時間を潰していたら、
もう30分ぐらい経っていた。
スマホ依存症か、私は！
どっちかというと浮所飛貴依存症だよね？

「あれ、どっちから来たっけ…まいっか。」

適当に戻ろうと思っていたら聞こえてきた『好きです』の声。

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あずさ先輩の声だった。

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