・俺のだから ページ3
「あははっ それほんとですか?笑」
「えっもうまじまじ、これがちよ?!」
「ふっかさんお話盛る癖あるからなあ〜」
「おれAちゃんにまでそんなこと言われたら悲しい!泣いちゃう!」
うえーーん、と嘘泣きのように顔を隠してジェスチャーしてみせる姿に思わず笑いがこみ上げた。
こうしてたまに現場にお邪魔しに来るとふっかさんが話しかけてくれて笑わせてくれる。
ぽんぽんぽんぽんでてくる話は聞いていて飽きないしすごく楽しい。
「……なあA、」
談笑している最中に、ソファの向かい側でスマホに顔を向けていた翔太くんが話しかけてきた。
「ん?どうしたの」
「…こっちきて」
少し不貞腐れた顔で手招きされ、そっち側に行こうと立ち上がろうとすると
「ちょっと翔太〜〜 今俺喋ってたのに!」
隣に座っていたふっかさんが私の右手を掴んだ。
「………は?」
正真正銘不機嫌であろう低音に響いた声が、身体の芯まで通り抜けた。
…あ、翔太くん、お、おこってる……
「ふ、ふっかさん」
正直、私も彼の怒ったところは出来れば見たくないほど、威圧がすごくて怖いのだ。
前に喧嘩したときのことなんかは思い出すだけで頭ががんがんするほど。
だからあの彼の逆鱗に触れたくなくて、掴まれた手を申し訳ながら離そうとすると
「ふざけんな触るな」
ずんずんと距離を詰めてきた翔太くんにふわり、と後ろから抱きしめられ、その嗅ぎ慣れた匂いがわたしを包んだ。
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作者名:ぬぬさん | 作成日時:2021年9月5日 7時