この手に余る幸せを【約ネバ/短編集】

好きな理由【ノーマン】(菫の花) ページ3

【著作：菫の花】

(貴方がいるから…の番外編です！

一応、過去編となっているのでまだ夢主ちゃんが少し幼いです！)




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｢あれー？ノーマンは？｣


朝起きて食堂へ行くが、何時もならもういるはずの彼がいない。

私は辺りをきょろきょろ見渡し首を傾げた。


と、そこへママがやって来てそんな私を見るなりクスッと少しおかしそうに笑うと私の頬に両手を添え綺麗な形をした唇を薄く開いた。

唇の間から優しげな声を漏らしながらママは話してくれる。


｢ノーマンはね、少し体調が優れなくて熱を出しているの。

だから今日は医務室にいるの。｣


その話を聞いて私はえぇー！っと声を零し肩を落とす。


今日はノーマンと遊びたかった。いや、今日もなんだけどね。


彼が昔から体が弱いのは知ってる。よく熱を出してたり、風邪を引いたり。

最近それがマシになってきたはずだったのにまた熱出ちゃったんだ…


｢大丈夫よ、熱はいつもより少し低かったわ。
多分明日になれば完全復活よ。｣


そんなに気を落とさないで、と微笑んで私の頭を優しく撫でると

ママは私の手を掴んで早くご飯を食べましょう？と手を引いた。




ノーマンside


窓から少し眩い光が差し込む。

青い空が少し憎らしく、僕は見ない様にベッドから起き上がるとカーテンを閉める。


きっともうすぐで自由時間。外で、兄弟達の声も聞こえてくるようになるんだろうなぁ…


｢僕もみんなと、Aと遊びたいな…｣


ポツリと呟いた僕の声は静かな医務室に小さく響き、やがて消えていった。


仕方ない、僕は元々体が弱いから…そういいきかせ再度ベッドに横になろうとした途端、コンコンっと窓の方からノックの音がした。

不思議に思いながら恐る恐る近付き閉めたカーテンを開くと窓の外にはAが居た。


｢ノーマンと話したくて来ちゃった！熱、大丈夫？無理しないでね！
窓越しでもいいから一緒にお話しよ！あ！ノーマンはベッドで寝てて!!｣


私が面白い話をしてあげる！とにこにこ楽しそうに話す彼女を見て僕は微かに目を見開いた。


でも、それ以上に嬉しかった。彼女は何時もそうだ…


体調が悪くて僕が医務室にいると何時もこうやって来てくれる。

たまに忍び込んで直接会いに来てくれたり…ママに怒られても絶対やめない。



僕は目の前で無邪気に笑うAの笑顔を見てふっと笑った。





僕はそんな君が大好きなんだ。








【僕が君を好きになった理由】








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