この手に余る幸せを【約ネバ/短編集】

守る対象【レイ】(ぬん) ページ2

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【著作:ぬん】


「いやよいやよも好きのうち【約ネバ】」

の番外編です！！！
夢主ちゃん出てきません...すみません！！
夢主ちゃんが出荷された後、ノーマンがレイを内通者だと言ったあの夜のお話です。



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(漫画でいう13話あたり、アニメでいう4話あたり)



ノーマンに内通者が俺だとバレた日。
やけに寒く感じ、静寂に包まれた夜だった。



「…そっか。レイは知ってたんだ…。あの夜、Aが…出荷されたこと。」



ノーマンは俯いて、どんな表情をしているかもわからない。
しかし、声からするに相当怒っているのだろう。



「…ああ。」




俺がそう答えると、ノーマンは俺の胸ぐらを掴んでこう言った




「なんで…ッ。」




殴られる。そう思い瞬時に目を瞑れば、




「なんでッ…1人で全部抱える！！なんでッ…！僕らを頼ってくれなかった！！！」


痛みは感じず、今にも泣きそうな顔をしたノーマンがいた。




ノーマンの手は震えていて、今にも崩れてしまいそうだった。





正直驚いた。殴られると思った。恨まれると思った。




こいつは、こいつらは、あいつは…



逃げろと言ったあの時でさえ、自分が明日死ぬと知ったあの時でさえ、仲間を見殺しにしたと知ったこの時でさえ、




「____家族のことしか考えてねーんだよ。」




『よく頑張ったね』

『なんでッ…1人で全部抱える！！なんでッ…！僕らを頼ってくれなかった！！！』




誰一人として俺のことを恨むやつなどいなかった。




いっそ、恨んでくれたら良かったのに。
家族を見殺しにした敵だと、突き放してくれれば良かったのに。




「___ごめん。」




こんなことしか言えない俺は、どんなに無力で自分勝手なのだろう。




「レイ、一発だけ殴らせて。」



ノーマンは俺に有無を言わせず、パンっと俺の頬を叩いた。




「…僕も、ごめんね。」



ジーンと痛くなる頬にすっと涙が流れた。





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