ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

141.笑顔(YS)　-ちづ- ページ44

(YS)

リハーサルを終えて、控室に戻る途中。
荷物をいっぱい持ったAとすれ違う。


YS「ヌナ、運ぼうか？」

「お疲れ様です、大丈夫です。」

短く返事、と、笑顔。

YS「…。」

それ以上言えないで見送ると、
後ろから来たドンヘがまた、声をかける。

DH「ヌナ、運ぶよ！」

「お疲れ様です、大丈夫ですよ。」

同じ返事。
けど、ドンヘは引かないはず…、

DH「そぉ？じゃあヒョンに持たせるよ〜。」

「え。」

SM「呼んだ？」

DH「ヌナの荷物運んであげて。」

SM「何で僕が。」


言いながら、荷物をひょい、と取り上げる。


「あ、大丈夫ですから。…本番が、」

言いかけたヌナに、

SM「まだ時間あるでしょ。はい、これ。」

小さい荷物だけ持たせて。
にこり、笑いかける。

「…。」






YS「あの笑顔、…ずるいな。」

DH「あは(笑)ヌナに対しては格別だよね。」

YS「…いいけど。」

DH「んん…、ハッピー！」

YS「何だそれ。」

DH「ヌナが笑うと、うれしいんです。」

YS「…ふ(笑)」


俺もだよ、ドンヘヤ。


心の中でだけ、返事して。
俺の方はもう見ずに、ヒョクチェに絡まって歩くドンヘも見送って。


RW「何、ヒョン。またトイレ？」


冷ややかに声をかけるが返事は待ってくれない弟が通り過ぎて…、


KH「何してんですか。」


もう一段冷ややかな末っ子が、声をかける。


YS「…。」


別に、と返事しようとして、


KH「最近ソンミンヒョンが相手をしてくれなくて寂しいです。」


タイミングを逃した。



YS「…、」


ヒョンが構ってやろうか？


言いかけて、
KH「お。ジホ！今暇？」



また、タイミングを逃す。



ｼﾞﾎ「暇じゃない。Aヌナ見なかった？
返却になった衣装、俺が運ぶって言ったのに…。」


KH「ヌナならうちのヒョンとイチャイチャしながら衣裳部屋のほう行ったけど。」

ｼﾞﾎ「は？イチャイチャ？」

KH「おぅ。こーやって。」


大きな箱を抱えるふりをしたキュヒョンが、
肩をジホに預けて。

くねくねと歩く真似をする。


ｼﾞﾎ「…。」


疑いの目。


KH「いやほんと。心の中のオーラが出てるんだって。」

ｼﾞﾎ「はいはい。あ、ヒョン、お疲れ様です。」

YS「…。」


お疲れさん。
お前だけだよ、ちゃんと目を見て優しい声をかけてくれたのは。


そう言おうとして、


ｼﾞﾎ「じゃな。」

素早くキュヒョンをかわして仕事に戻っていくジホが歩き出して。





…また、タイミングを逃した。

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