139.全部 -ちづ- ページ42
その夜。
時間はほぼ深夜、
事務所の、衣装倉庫で。
ユニとジホを帰らせて。
残りの作業をしながら待つつもりだったのに、
私の方が遅くなってしまって…訪ねてきてくれたソンミン。
「…すみません、本当に…」
SM「いいよ、全然。」
やっぱり、
ただ甘えるというのはよくないと思う。
でも、
なんだか、
「…(笑)」
SM「ん?」
「この場所で、こんな時間に、二人で作業するのは何回目かな、と思って。(笑)」
SM「…本当だね(笑)」
ちくたく、
ちくたく、
やっぱり心地いい時間が流れて。
…好き、だな。
SM「終わった♪」
「え!」
…どうしよう。
早く終わらせよう。
SM「…。」
そろり。
もう終わりかけの作業を見て、
ソンミンが私の後ろに来る。
SM「ねぇ、」
「はい?」
SM「邪魔してもいい?」
「…え?!」
聞き間違えたかと思って、後ろを向こうとしたら。
もう、逞しい腕に捕まえられて。
一気に早くなる鼓動を感じて、
振り向けない。
「…仕事が、終わりません…」
SM「終わらせて。すぐ。」
「…じゃあ、邪魔しないでください。」
SM「だって、抱きしめたいんだもん。」
「…。」
困る。
そんな、素敵な声で、かわいいこと、言って。
どきどきして。
…困る…。
きっと、顔が赤い。
そんなこと、
見えなくてもソンミンにはお見通しだろうと思うと、
それも恥ずかしい。
SM「A?」
「はい?」
SM「…気になってたことがあって。」
「…?」
SM「前に少し、聞いたことがあるでしょ、
お父さんのこと、とか…、
そのときに、…恋愛に関しても。
…弱くなりたくない、って。」
「…。」
SM「純粋に、仕事のことだけを考えても、
Aが職場の関係者と恋愛することに抵抗があるんじゃないかと思う。」
「…。」
確かに、そう、だった。
私にとっては、
恋愛は、踏み出しにくい、一歩で。
今現在その話も、
言い出しにくい、相談だった。
少しの沈黙のあと、
ふわりと腕を緩めて。
覗き込むような体勢で、
私の目を見て。
SM「…僕が、全部、守るから。
…僕に、全部預けて?」
ふわり、
優しく微笑んで。
頬に、唇に。
優しい、キスをしてくれる。
「…。」
SM「返事は『はい』、ね。
Aはこれで僕の彼女、ね。
…さ、邪魔してごめん。」
勝手に私の返事を決めて。
さくっと私の手元から仕事を奪ったソンミンを見て。
…うれしくて。
…何も、言えなかった。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時