120.彼女にあげたい(SM) -よじゃ- ページ23
(SM)
会議室の扉は開いていて、少し弾む息のまま中を覗きこんでも彼女の姿は無かった。
SM「Aさん、いる?」
声を掛ければ、途端にゴンっ、ガタガタっと鈍い音と一緒に、小さな呻きが聞こえてきた。
驚いて駆け寄れば、見えなかった会議机の向こう側で、Aが頭を抱えて丸くなっていた。
SM「え、ぶつけたの?大丈夫?」
「大丈夫です…」
顔をしかめて見上げられた表情は本当に痛そうで、ぶつけたであろうその場所にこぶが出来ていないか確認して、そっと撫でる。
それはとても自然に出た行動だったけれど、彼女は一瞬身を固くして、もう一度大丈夫ですと告げて、僕のその手を遠ざけた。
彼女がそうする理由も、分かっているはずなのに、やっぱり胸が痛むんだ。
立ち上がって、どうしてここに?と尋ねる彼女に、ユニからの伝言を伝えれば、申し訳なさそうに表情が曇った。
「すみません、ちゃんと確認もしないで、ソンミンさんにまで迷惑かけて」
SM「別にこんなの大したことじゃないよ」
彼女が気に病むようなことじゃない。
そうやって何でも背負い過ぎる彼女の荷を、下ろしてあげたいと願うのは、当たり前のことで。
困ったような笑みを返して、
「しっかりしなきゃ…」
呟いた彼女が歩き出そうとする腕を取る。
振り返った彼女は、やっぱり戸惑った顔をしていた。
SM「頑張り過ぎたらダメだって、言ったでしょ?」
精一杯笑って、彼女も笑顔にしたいと思うのに。
返される作られた笑みは、すぐに消えてしまうような、弱々しいもので。
助けを求められているような気がするなんて、感じてしまったのは、僕の思いあがりなんだろうか。
彼女を無理矢理手近な椅子へ座らせて、その正面から顔を覗き込む。
困った顔をさせたいんじゃない。
ヌナを元気付けたいだけなんだ。
僕の言葉で、変われたと言ってくれたことが、とても嬉しかったから。
そうやって彼女の中に少しでも自分の価値を植え付けることが出来るなら、彼女の心が晴れるようなそんな言葉を、またあげたかったんだ。
121.エゴ(SM) -よじゃ-→←119.おかしい(ユニ) -ちづ-
282人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時