111. 記憶の共有 -よじゃ- ページ14
貰ったキーホルダーは、彼らしいセンスの光る、おしゃれなもので。
この雑然とした荷物に紛れないうちに、早めにしまっておこうと、自分の荷物に向かう。
せっかくだから、帰ったら鍵を付け替えて、お礼にお店の宣伝いっぱいしなくちゃ。
静かに意気込んで荷物を探ると、すぐそばで、今日も並んで座り合う、ソンミンとキュヒョンからちらりと視線が投げられた。
KH「いいなぁ、ヌナ」
「あ、これですか?キュヒョンさんは貰ってないんですか?」
KH「貰ってないから、それ、ください」
ピンク…ですけど、彼が持つには不釣り合いな手元のキーホルダーを今一度見やれば、違いますよ、と返事が返ってきて
KH「ピンク好きのヒョンにあげようかと思って」
SM「え?僕のこと?別に要らない」
KH「あぁ、それ聞いたらヒョンが泣くなぁ」
「仲良しですねぇ」
SM「え、やめてよ」
KH「羨ましい?」
ふざけて抱きつく腕を、ソンミンは本気で振り払う。
その姿を見て、また、仲良しですね、と笑った。
SM「…なんなんだ、あいつ」
キュヒョンは散々ソンミンにあしらわれた後、俺もヒョンに強請ってこよう、と盛り上がるドンヘとイェソンたちの元へと行ってしまって。
残された彼と2人、その行動の読めないキュヒョンの背中を、苦笑いして見送った。
「そんなに欲しかったんですね」
SM「え、…どうかな?…あいつの考えること、時々お節介だから」
ふ、と言葉とは裏腹に優しい笑みをこぼしたソンミンに、そういえば、と、報告したかったことを思い出す。
「そういえば、ソンミンさんにお礼言わなきゃって、ずっと思ってたんです」
SM「お礼?」
首を傾げた彼に、隣、いいですか?と尋ねて、それまでキュヒョンが座っていた場所へ、腰を下ろした。
「何から話せばいいんでしょう。
こうやって話そうと思えるのも、そもそもソンミンさんのおかげなんですけど」
今まで言えずに、胸に締まっていたことも、今なら話せる気がした。
ドンヘとユニたちだけが支えてくれていた、この思いも、もっと誰かに知ってもらえば、振り返っても涙のない、穏やかな思い出に変わる気がして。
「少し、あの、重いかもしれないんですけど、なるべく簡潔に話しますね」
そう切り出して、話しだす、父のこと、悩んでいたこと、貰ったソンミンの言葉、先日の墓参り。
簡潔になんて言いながら、結局上手く纏まらない話を、彼はただ頷きながら、聞いてくれた。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時