113.ヒョンの言葉(DH) -よじゃ- ページ16
(DH)
ソファーに並んで座って話すAとソンミンが、とてもじゃないけど、気軽には入り込めない空気を作り上げていて。
何時もだったら強引に踏み出せる一歩を、踏み出せずにずっと耳を澄ませていた。
暢気に話し続ける周りのメンバーの話なんて、ほとんど耳に入らなかった。
そうやって知ってしまった、彼女の変化の原因に、思わず押さえたくなるほど胸が軋んだっていうのに。
彼女を変えたのが、ヒョンだったって、そんなの知りたくなかったのに。
ちょっと泣きそう、だったのに…。
やっぱり、ヒョンはすごいなって、思い知らされる。
SM「なんか、偉そうだったかな、僕」
「でも、世界がぐるっと変わった気がしましたから。だからこそ、父にちゃんと笑顔を向けられたんです。それって、私の中ではすごい変化なんです」
SM「そっか…」
「だから、とても感謝してます。ありがとうございます」
SM「…ヌナは、きっと僕と少し似ていて、1人で抱えやすいタイプでしょ?」
だからさ、
そう言って、Aに向けたソンミンの笑みは、とても優しくて。
泣きそうになる。
そんな良い顔、Aに見せないでよ。
僕の目の前で、Aを誘惑しないで、お願い、ヒョン。
けれど、想いは虚しく宙に消えていって。
僕だって惚れてしまいそうな、飾り気の無い綺麗な笑みを保ったまま、ヒョンが、言うんだ。
分け合っていけたらいいよ。
どんな悲しみも、どんな後悔も。
分け合えばきっと、軽くなるはずだから。
僕なんかじゃ、多分一生かかっても、言葉にすることが出来ない。
それどころか、きっと気付きもしない、温かい言葉を。
それを聞いたヌナの顔が、はっとしたように目を開いて。
小さく頷いて、こぼした笑みは、とても幸せそうだった。
そのまま俄に目を逸らした彼女の耳が、あんなに赤くなかったら、まだ落ち込まずに済んだ。
現実って、残酷だ。
話の輪からそっと外れて、部屋を出た。
あの日、お父さんのお墓の前で抱き締めた時の想いを、告げられずに足踏みした自分が、バカみたいに思えるけれど。
きっと、無理やり告白したって、上手くいかなかったんじゃないかって、そんな気もした。
想いが伝わっていたとしても、自分にはやっぱりソンミン以上、彼女に何かをあげることが出来ない気がしたから。
秘密を温めるだけじゃない、そのさきの何かを。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時