ちづとよじゃのヌナ短編【05】-SJ-

イェウクと旅しよ、ぽかぽかと(1/16) ページ8

「わー、可愛い！」

キラキラと目を輝かせるリョウクは、華やかなワゴンの少し手前で立ち止まって、少しだけ迷う素振りを見せる。


「似合うと思うよ？」
「でもちょっと、どうなの？大の大人の男だよ、僕も」

「リョウガ、夢の国だぞ、ここは」

イェソンの後押しが続いて、じゃあヒョン達もつけてよねって、嬉しそうに笑ったリョウクに手を引かれてワゴンに向かう。


軽やかなBGMが響いて、気分をわくわくと盛り上げる。




こんな雨の、遊園地だって。









「もしもし？」

「あー、ヌナ。もうすぐリョウクの誕生日だろ？」

「うん」

「何が欲しいんだって聞いたら、ディズニーランド行きたいって」

「あー、ここ最近ずーっと言ってるよね。叶わないと思うと余計に行きたくなるから」

「せっかくだから行こうかと思って」

「え？！大丈夫なの？」


「いや、ジョンジナの友達がな、前に行った季節は随分空いていたらしいんだ。それがちょうどリョウクの誕生日の頃だったって言うから、まぁ、なんとかなるだろ」

「うわぁ…適当」

「俺も行きたいし」

「…それが一番の理由なんじゃないの？」


「じゃあ、そういうことだから、予定空けといてくれよ」




おかしいんじゃないかって思う。

揃いも揃って、なんだって人をツアコン扱いするのか。


これって誰のせい？

リーダーの教育責任？

きっかけをつくったウネのせい？

なんだって、つい安請け合いしてしまう、自分の、せい…？




そう、結局振り返ってみれば、多分、全部…自分のせい。


今回だって、日本語なんて話せるわけじゃないのにその誘いに乗ってしまったのは、どこか遠くに行きたい気分だったから。

日常を忘れられる、嫌なモヤモヤを全部忘れられる、逃げ場所を、必死に探していた。


もしかして、強引な誘いは私のため？


不意に浮かんだ予感に、優しい2人の笑顔を浮かべて、胸が温かくなった。



　

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