潮騒に消える秘密(6/7) ページ31
「あったかい…」
と彼は囁いた。
耳を撫でる低い声がくすぐったい。
包まれる、体温を分け合う腕の中は、確かにとても温かかった。
「ヒチョルも…あったかいよ」
少し照れながら、それでも冷静を必死に装ってみる。
もしかしたらやっぱり、何かに疲れているのかもしれない。
甘えたい気分なのかもしれない。
だったら受け止めてあげたいと思うから。
抱き締められていた腕を伸ばして、その広い背中を、慰めるように優しく撫でた。
しばらくそうやって、互いの体温で温め合っていると、ヒチョルは、お前は…ったく、嘆いて溜め息と共に腕が解かれた。
「いい加減気付けよ」
見つめ合った顔は、これまで見たことが無い、酷く優しい笑みが浮かんでいた。
驚いてただまっすぐその瞳を見つめていれば、口、開いてる、と可笑しそうに笑いながら顎を押し上げてくる。
されるがまま、口を結んで、顎に合った手が、さらりと耳を撫でた。
繋がる瞳がゆっくり伏せられて、傾き、近づいてくる顔に驚いているうちに、そっと優しいキスが触れた。
後を追うように瞼をそっと閉じれば、ただ柔らかな感触が、胸の奥へと響いてくる。
この上ない幸せな気持ちと、わけがわからない混乱した思考とが、交互に忙しくやってきた。
触れた時と同じように、そっと離れていく余韻にぼんやりしていると、間近で目のあったヒチョルが、ふっと照れたように笑って、目を逸らす。
そのまま、その照れを隠すように、肩にコツンと額を乗せた。
彼の柔らかな髪が、首を撫でる。
「…どうだった」
「…どうって…」
投げられた質問は、予想外で、答えは雲をつかむように手から零れてまとまらない。
「良かったか、悪かったか」
「…悪くは…なかった」
「なんだよそれ!」
返した答えは、彼の望むものではなかったようで、弾かれるようにその身体を離したかと思えば、笑いながら悔しがっている。
よく分からない感情表現が、とても彼らしいな、と思ってぽかんとしていると、
「ったく、お前はほんと、気が抜けるよ」
満足気に笑う彼に、頭を捻る。
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ちづ(プロフ) - くみょくさん» こんばんは、ありがとうございます〜♪・・ですよね!!私もドンちゃんなら襲われちゃって手に入れたいです(←何の話ww)楽しんでいただけてうれしいです♪ (2014年3月7日 23時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
くみょく(プロフ) - うわー(T_T)襲われてそれダシにしたいーww 久々素敵ドンへに会えました♪ちづさんありがとうごさいます^o^!! (2014年3月6日 0時) (レス) id: c316030326 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - ミツさん» こんばんは、ありがとうございます〜♪やっとアップできました〜(泣)うれしい、ミツさんに愛されちゃったww (2014年3月6日 0時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - 凛々さん» こんばんは、早速ありがとうございます〜!今回は悩みに悩んでこのドンヘです(笑)楽しんでいただけてうれしいです♪♪ (2014年3月6日 0時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
ミツ(プロフ) - あ~!しあわせです!あぁ、最高です。ちづさん、あいしてます!! (2014年3月5日 23時) (レス) id: 611205b7a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年6月4日 23時