私の4人のお兄ちゃん (ページ8)

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貴にぃが学校に戻っちゃって、家に1人きりになった。

寂しいし心細いし、寝る気にはなれなくて録画していおいたバラエティ番組を見る。

いつも賑やかなリビングに一人でいると、テレビくらいは賑やかなのを見たくなる。

もう既に見たやつだからそんなに面白くはないんだけど、ただボーッと眺めていた。

見終わって、別のを再生して…どれくらい見ていたんだろう？

ドアが空いて、貴にぃとシゲにぃの声がして、私は反射的に玄関へ走った。

「うわ、お出迎えなんて久しぶりじゃん。」

貴にぃが笑うけど、寂しかったんだもんとは返せない。

「昼メシ、弁当食べれそう？
食べれないなら、簡単に作るけど。」

「いい、いらない。食欲ないもん。」

「少しは食べなきゃダメ。
雑炊でも作るから、少し待ってろ。」

「いいって、お昼休み1時間しかないのに、時間無くなっちゃうじゃん。
せっかく作ってもらっても、食べれるか分かんないし。」

「そんなこと、Aが気にすることじゃないの。」

「そうだけど、それ俺のセリフな。
ま、残したとしても残飯処理係がいるから心配すんな。」

仕返しとばかりに、シゲにぃが貴にぃを残飯処理係呼ばわりする。

シゲにぃに悪いなとは思うけど、やっぱり嬉しい。

シゲにぃが雑炊を作ってくれている間、私は貴にぃとさっきまで見ていたテレビの続きを見ていた。

2回目なのに、誰かと見るとまた笑えるから不思議だ。

のんびりテレビを見ていたとき、それを切り裂くように貴にぃが言った。

「あ、忘れてた。
A、漢方薬貰ったから今のうちに飲むぞ。」

まぁ、それを聞いちゃったら逃げるよね…全力で。

立ち上がって走り出そうとしたとき、貴にぃから腕を引っ張られた。

「Aの行動なんてお見通しなんだよ。」

ニヤッと意地悪そうに貴にぃが笑う。

「シゲにぃ助けて！」

キッチンにいるシゲにぃに助けを求めても、素晴らしいほど綺麗にスルーされた。

おんなじ双子でもこういうとき、常識をどこかに置いてきた祐にぃだったら何か変なことを言って助けてくれる可能性もあるのに。

…変な方に転ぶ可能性と五分五分だけど。

「良薬口に苦しって言うだろ？」

「聞いたことない。」

「シゲ、お前の生徒だろ？」

「やめてよ。人がガチで頭悩ませてることなんだから。」

失礼な！

真面目な顔で云うから余計に辛い。

力で貴にぃに勝てるはずもなく、めっちゃマズい漢方薬を飲まされてしまった。