白鳥沢にはもう一人一年レギュラーがいました 2nd【男主】

Ｎｏ．４７ ページ3

二日目の合宿が終わろうとしている夜


飯も食って、風呂も入って


あとは寝るだけだ



A｢……｣


瀬見｢A、生きてるかー？｣


A｢なんとか……｣



別棟の大広間


ここが俺達の合宿部屋になっている



畳の上に人数分の布団が並んでいるこの部屋は、学年関係なく
全員同じ部屋で寝泊まりしていた



天童｢今日は頑張ってたからねぇ、Aちゃん｣


A｢うぅ、改めて己のスタミナの無さを痛感しました……｣


白布｢まぁでも、第一関門突破ってことじゃないですか｣


A｢第一関門？｣


瀬見｢毎年あるんだよ、監督が目え付けた一年をシゴクってのが｣


A｢だから監督も皆さん何も言わなかったんですね…｣


白布｢俺もあったから、きっとお前にもあると思って｣



ってことは、工も……



天童｢工はまだ壁にぶつかってる最中みたいだけどネ｣



工……


あれから工とは一言も話していない


今日の試合で余計に俺のことを敵視している気がして、俺は何も話せなかった



大平｢お前が気に病むことじゃないよ｣



俺の心を読んだように、大平さんは言った



大平｢Aはしっかりと志を持って試合に出て結果を出してる


五色には、少し足りない所があるだけだ


それを自分で見つけないと、意味がないだろ？｣



確かに、今の工は俺がどうこう言ってなんとかなる訳じゃない


けど……



A｢やっぱり助けてあげたいんです


工は、高校で初めての仲間で友達なんで……｣



俺の考え方は、白鳥沢じゃ甘いのかもしれない


個の力


個の技術



徹底的に個を磨くチームだっていうのは知っている



けど、個の力を磨く為に仲間が助けていけない理由なんてない



すると大平さんは菩薩の様な笑顔で、俺の頭を撫でて
こう言った




大平｢まぁ、頑張んない｣



A｢はい！｣



工


俺はここまで来た…



お前も早く来いよ

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